あたりまえ (ページ2)

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たページ2

▼スンチョルside

たくさんの人間がいる中で。
俺とAは出会った。
所謂、幼馴染みという関係だった。
けど、いつの間にか、お互いを意識して…恋人になるのに時間はかからなかった。
毎日、一緒にいるのに、飽きることはない。
毎日、Aに惚れ直す。
ちょっとしたことが可愛いなんて、いつものことだ。
惚れた弱み、だろ？

「…スンチョラ」

もっと大きな声で呼んでもいいのに…。
小さく俺の名前を呟くA。
俺、お前限定で地獄耳なんだけど。

「どした？」

そう声をかけながら、Aの目を見れば、"帰りたい。寂しい"と感情がだだ漏れている。
口に出さないのは彼女が、周りに気を使っているから。

よし。帰るか。

自分の荷物と彼女の荷物を持って、手を差し出せば、彼女の小さな手が重ねられた。

コイツは俺がどれだけ、自分に惚れこんでいるか、知らない。

Aに、嫌われないように、
俺がAの前で格好つけてるのも、
努力してるのも、知らない。

たまに、こぼされる
俺に対する称賛は、彼女の素直な気持ち。
だから、嬉しいんだ。

Aと過ごす時間は穏やかで。
俺にとってはかけがえのないものだから。

一生、彼女の隣に立っていたい。

ちょっとしたことで、照れて赤くなる顔も。
気を使いながらも、寂しくなると俺の名前を呟くところも。
Aの、全部、全部が…

「愛してるよ。A」

そう言えば、顔を真っ赤にして、ギュッと繋いでいた手を握るA。

はは、ヤバいな。
もう、この手は離せない。

…