あたりまえ (ページ1)

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あページ1

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貴方は私の運命の人だって。

誰にも言ったことないけど、

勝手に思ってる。

「…スンチョラ。」

小さく私がそう呼べば、どんなに友達に囲まれていたって、スンチョルは、
私の声に気づいてくれて。

「ん、どした？」

私の隣に来て、私の目を覗き込む。
スンチョルによれば、私は気持ちが目に出る…らしい。

「…帰るか。」

私の目を見たスンチョルは、そう呟いて、自分の荷物を背負うと、私の荷物を持って、手を出した。
スンチョルの、私より大きい手を握り、彼と教室を出て、一緒に歩く。
スンチョルは、足が長いから、歩くのも早いけど、私に合わせてくれるから、私は、私のペースで歩ける。

「スンチョラは、なんで、私の気持ちがわかるのかなぁ。」

彼と並んで歩きながら、呟く。
だって…。
帰りたい。
スンチョルを彼の友達に取られて、寂しい。
そんな私の気持ちを的確に理解したんでしょう？

スンチョルは何も言わずにニコニコと笑う。
答えはくれないらしい。

「…大好きだよ。スンチョラ。」

小さく呟くと、スンチョルは、吹き出した。

「知ってる。Aは俺が大好きだもんな。」

笑いながら、言われた。
馬鹿にされてるわけじゃないのはわかるけど。
なんで笑うの？

「スンチョラは狡い。」

「狡い？なんで？」

「スンチョラは、私が知る人間の中で一番格好良い。だから、狡い。」

「くっ、そうか。狡いか。」

満足気に笑う、スンチョルが格好良いから、やっぱり、狡い。
私を自然に優先するのも、
私が黙ってたって、気持ちを理解しちゃうのも、格好良いのも、優しいのも、全部、全部、狡い。

「スンチョラは、なんでそんなにかっこいいの？」

私がそう聞くと、

「Aの前ではかっこつけてるからな。」

自信満々に彼は答えた。

「惚れた女の前ではかっこつけたいだろ？」

スンチョルは、続けてこう言った。
彼はちょっと、耳が赤い。
けど私は多分、顔が赤い。

「やっぱり、スンチョラは狡い。そんなに男前なスンチョラに惚れないわけないじゃないか。」

私がそう言えば、彼は嬉しそうに笑った。

「じゃあ、作戦成功だな。愛してるよ。A」

スンチョラは、そう言うと私と繋いでいる手を、私の手を自分の口元に持っていき、キスをした。
キザだけど、彼がやると、"サマ"になる。

…