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noside
孤独になった少年にとって、作曲をすることは兄から教えて貰った大切なことであり、夢中になれるものであった。
それはある種の現実逃避と言われても仕方がないほど少年は何かに取り憑かれたかのように没頭した。
そんな時少年はある劇団と出会う。
最初はたまたま通りかかった道端でストリートACTをやっていたのは見たのがきっかけだった。
拙い演技で決して上手い言えるようなものではなかったが、一生懸命行う姿を見て少年の心は揺さぶられた。
頭の中に音が溢れて洪水のようだった。
__早く、早く書き留めないと。この感動を忘れてしまう。
大急ぎで書き留めた五線譜は今まで書いたどれよりも輝いて見えた。
その劇団の名前を聞く余裕なんてなくて、勢いのままその場を離れてしまったが頭の中にはその時の光景が離れなくなっていた。
劇団を探し当てたのはたまたまで、フライヤーを配っていたためふらっと立ち寄った劇団がストリートACTで見た劇団だった。
たまたま見ることが出来た公演はストリートACTと比べ格段に成長しており、感動のあまり周りが見えなくなりその場から動けなくなった。
___すごい、すごい、こんなの知らない!
はじめての感動に戸惑いながらも、帰ってから感動を音にして書き留めるペンが止まることはなかった。
そしてその後、少年は劇団に作曲家として加入することになる。
ようやく居場所を見つけた少年は毎日が楽しくて仕方がなかった。
心の底から笑える場所を手に入れた。
素敵な仲間に出会って、幸せな日々を送って、自分の想いを音にして紡ぎあげた時になって少年は怖くなった。
幸せな日々は長くは続かない。
残酷な運命が兄を奪っていったように、家族の仲を壊してしまったようにこの劇団が奪われることが起きたら____
そんなことをぐるぐる考えているうちに不安は大きくなっていき、少年は逃げた。
遠くに行って、1度自分の心を落ち着かせ、また何に対してでも笑い飛ばせるように。
落ち着くには1ヶ月もかかってしまったけれど、劇団のみんなに一言いう間もなく逃げてきてしまったけれど。
きっとまた大丈夫。兄の死は乗り越えられた。
仲間に嫌われたら苦しいだろうけど、大丈夫。
笑い飛ばす準備は出来た。
___壊されるくらいなら自分で壊してしまえ。
少年は自分の本当の気持ちに気づかなかった__否、気付かないふりをした。
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なー(プロフ) - ありがとうございます!最近更新してなくて申し訳ないのですがこれからもよろしくお願いします! (2018年2月13日 22時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 何時も読んでいます。あんスタもA3!も好きなので凄く嬉しいです!これからも頑張って下さい! (2018年2月13日 17時) (レス) id: 7e7cac11ec (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 冠さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただき感激です!ご感想ありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年1月22日 21時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)
冠 - いつも楽しく読ませてもらっています!part2に入ってから、感動して涙が止まりません。自分の中でこの作品は名作と勝手ながら思っています!これからも頑張ってください! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 12fca75d2a (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます!続きも楽しんでいただけると幸いです!これからもよろしくお願いします! (2018年1月22日 17時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:なー | 作成日時:2018年1月15日 1時