義 務 結 婚 .【 安室透 】

lie 8 ページ8

.






「……あれ、」

「おはようございます、」

「…おはようございます」






私を見掛けると、直ぐに笑顔を浮かべて挨拶をくれる。

爽やかな笑顔に釣られて
ぎこちなく私も笑みを浮かべる。







「今日はお仕事お休みですか？」

「はい、まあ、夜になったら出掛けますが」

「へ、夜からですか…！！？」







"お休みになられた方が良いですよ"
そう言って座ってる彼を見ると

彼は困ったように笑って







「少しくらい、…あなたと喋っていたいんです」







なんて、心を惑わすような事を簡単に言いのける。

そんな彼の言葉に思わず俯いて
熱が籠る顔を手で扇いだ。








「はは、もしかして照れてますか？」

「……うるさいです。」

「図星」

「！」

「……なんですね、」






「だ、だって……！！

そんな事言われたら照れますよ！！」









彼のからかい口調に思わず顔を上げると
すっと彼の手が頬に添えられた。

自然な行動に驚いていると
彼は楽しそうに笑い声を控えめに上げて








「ほんとに顔真っ赤」



「っ…〜〜！！」









反抗の言葉すら上げられないほど

初めて見た純粋な笑顔だった。








.

lie 9→←lie 7

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す