義 務 結 婚 .【 安室透 】

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「透さん、もう帰ってたんですね」

「はい、これでもゆっくり帰って──」

「車、飛ばしたんじゃないですか？」



「……なんでわかったんですか、」






"何となく"と笑う私に、
彼は照れ臭そうに頬をかいた。

分かったのは何となくじゃなくて
帰り道見覚えのある車が飛ばしているのを見かけたからだ。



でも、それを言ったら
余計に彼は照れてしまいそうで

そっと私の胸の中にしまった。







「今すぐ夜ご飯の支度しますね、」

「僕も手伝いますよ」


「いえいえ！透さんは休んで下さい！」

「はは、僕がしたいんです、」








"何かしてないと落ち着かなくて"
そう言いながら笑みを浮かべる彼に

じゃあ、と二人の共同作業に移る。







「カルパッチョあたりでも、作りましょうか」

「そうですね」








プロ顔負けの彼の手付きに
見とれながらも

自分も負けじと頑張って作る。







「料理上手ですね、」

「透さんに言われると皮肉にしか聞こえません」


「ええ…？褒めてますけど……。」








ふふ、と笑って誤魔化せば
彼は小さく「可愛いですね」と笑った。








「へ、」

「その笑顔、素敵です」




「……っ」

「顔真っ赤」









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