lie 15 ページ15
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彼の名前を呼ぶ声に振り返ると、
ふわっと、優しい香りが私を包み込んだ。
「と、とおる…さ、ん」
何も言わずにぎゅ、っと抱き締める
そんな彼に思わず顔を上げようとすると
胸板に押し付けられるように
もっと強く抱き締められた。
さっきまでの自分が嘘のように
彼に抱き締められただけで
胸が高鳴ってしまって張り裂けそうだ。
「───沖矢昴、何でここにいる、」
そんな時、彼の第一声は
その言葉だった。
勝手に舞い上がって勝手に沈んで
彼が私を包み込んだのは、『好き』だからではなく、別の目的。
分かってたくせに
やっぱり期待してしまうもので
単純な自分が嫌になる。
「おや?……どこかでお会いしましたっけ?」
「僕は嫌なくらい覚えてますよ、僕が知ってる大嫌いな奴ならばですけどね、」
「なら それは私じゃないですね」
「………いいや、あって───」
「だって、人の目の前で女の人を抱き締める人なんて私の知り合いにはいませんよ」
ピリ付く空気の中、
彼らは笑顔を絶やさず
まるで私の事なんて置いてけぼりで。
「っ……それはっ」
「───それと、
女の人の手は決して離さないで下さいね
その人の為にも、あなたはその人の事を考えるべきですから」
"じゃあ、これで。"
と去っていく彼に悔しそうな顔をする透さん。
「、……ごめんなさい、Aさん」
「(……それは、何に対してなんですか、)」
馬鹿みたいに煩い心臓が
苦しくて辛くて
まともに彼の顔を見れなかった。
「………だいじょうぶ、です」
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あまね(プロフ) - せつない? (8月29日 23時) (レス) @page22 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
眠夢_(プロフ) - 夢主ちゃんや……分からなくもないが探求心の塊やないかい! (2021年10月20日 23時) (レス) @page22 id: 7e61cd56ff (このIDを非表示/違反報告)
土方美零 - 毎回、楽しみにしてます!これからも頑張ってください! (2017年11月18日 13時) (レス) id: 53f77aa8bb (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - カリカリ梅さん» コメント有難うございます。こういう設定の漫画はいくつかありますよね汗 読んでないから似せてしまってるかも知れませんが、自分の文で頑張ります!更新ぼちぼち頑張りますね! (2017年8月31日 23時) (レス) id: 711c1a1f1e (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - 白井なでしこさん» コメント有難うございます。受験生のため、ぼちぼちの更新になりますが楽しみにして頂けて嬉しいです。更新頑張りますね! (2017年8月31日 23時) (レス) id: 711c1a1f1e (このIDを非表示/違反報告)
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