初めまして ページ9
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いつものルーティン。
放課後にカフェデートをして、Aの家まで、二人で歩いていたら、
「A」
そう言って手を広げた目の前の美人な男性。
僕の隣を歩いていた、Aは、走って彼に抱きついた。
パキッ
なんとなく持っていたシャーペンが、手の中で粉々に割れた。
歩く速度を上げ、Aを追いかける。
その間も抱き合い、笑い合う男性とA。
そんな二人の様子を見ていたのだろう。
男性の隣に立つ可愛らしい女性は、笑顔ながら、青筋を立てていた。
あ。コレは…この人は、僕と同類だ。
多分、目が合ったその人もそう思ったんだろう。
彼女はニコリと僕に笑いかけ、
「A、彼氏？」
僕の方へ視線を向けてそう言った。
くるりと僕の方を振り向いたAは、
「うん、私の彼氏、ジス。」
僕が一番好きな笑みを浮かべて、僕の腕を取って答えた。
うわ、可愛い。
僕の彼女、めちゃくちゃ可愛いんだけど…。
「ジス、ね。私はAの母よ。よろしくね。」
ニコニコ笑うAのママ。
「か、彼氏？Aに、彼氏？」
Aを抱きしめていた男性は、僕を見て、驚いていた。
「パパ？どうしたの？」
不思議そうにそう言うA。
パパ？そう…この二人はAの両親なんだね。
「初めまして。Aとお付き合いしているホン・ジスです。宜しくお願いします。」
僕がそう言うと、Aのママは、Aのパパに微笑みかけ、
「ほら、貴方。」
と、言いながら、さり気なく、彼の腕に自身の腕を絡めた。
「あぁ、Aの父だよ。ジス、宜しくね。」
少し、ショックを受けたようなA父は、それでも、笑顔を浮かべた。
優しげな美丈夫。
目がAと似ている。
「え、ジス、ソレ、どうしたの？」
僕の手の中にあるバキバキに壊れたシャーペンを見て、Aが聞いてくる。
あ、忘れてた。
「ん？あぁ、なんかね、壊れちゃった。」
「壊れちゃったって、なんで？」
不思議そうなAは、僕の手の平が傷ついていないのかを確認している。
そんな僕達を見ていた彼女の母は、ふふっ、と笑う。
「私はジスと仲良くなれそうだわ。」
と、Aの母が呟くと、Aの父は、苦笑いをした。
多分、Aの母は僕と同類の人間で…僕も彼女とは、仲良くなれそうだと思った。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年11月10日 16時
