家に行く ページ8
▽
学校が休みの日。
ジスの家に呼ばれた。
普段は私の家までジスは送迎してくれるから、初めて、彼の家に、行った。
「まぁまぁまぁまぁ。初めまして〜。」
ジスのママは、何故か物凄い笑顔で私をハグした。
「初めまして」
彼女に抱きしめられながら、そう言うと、
「声まで可愛いっ。」
何故か、ぎゅっと力がこもった。
「やめて！いいかげんにして！僕のAに触らないで！」
ジスはそう言いながら、私を彼女の腕の中から救出した。
「Aちゃん、ママって呼んでね？そう呼んでくれないと、返事しないから！」
ジスママはそう言って、笑ってくれた。
え、返事しないって何？
「A、相手にしなくていいよ。僕の部屋行こう。」
ジスに手を引かれて、彼の部屋へ行く。
ジスの部屋は、シンプルで普通に男の子の部屋だった。
「何で居たのかな、あの人。」
首を傾げて、呟くジス。
ジスママは普段はお仕事で居ないことが多いみたいで、今日、私が彼の家に遊びに来ることは、話していなかったそう。
「せっかく、二人っきりで過ごせると思ったのに、邪魔が入った。」
ぶつぶつ言いながら、私をハグするジス。
邪魔って…。
「あの人、来ないように言ってくる…」
はぁとため息をついて、そう告げ、部屋を出ていくジスに首を傾げた。
男の子ってそんなもん、なのかな？
だから、ジスママは、私に"ママって呼んでね"なんて言うのかな？
ルーカスは、どうだったっけ？
覚えてないな。うん。
うちのママは基本、パパが一番だしなぁ。
▼
Aは、照れ屋さんだから、外じゃなかなか触れさせてくれない。
でも、僕はやっぱり、彼女に触れたいから、せっかく家に呼んだのに、
「何でいるの？」
母親に聞けば、ニコニコとしたこの人は、
「うふふ、Aちゃん、可愛いわねぇ。」
と呟いた。
「Aが可愛いのは、当たり前でしょ？僕の彼女なんだから。っていうかさ、彼女との大事な時間なんだから、邪魔しないでよ。」
「ビビッて来たの。彼女は私の娘になる子ね。逃しちゃだめよ。」
そう話しながらも、母は、ティーセットを僕に渡す。
それを受け取りながら、
「ねぇ、僕の話聞いてる？逃さないよ、絶対。」
そう、母に声をかける。
「今度、ゆっくりお茶したいって、Aちゃんに言っておいてね。じゃあ、仕事に戻るわ」
と、彼女は、家を出ていった。
一目、Aを見たかっただけ、だったらしい。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年11月10日 16時
