付き合う前の話4 ページ6
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ある日の放課後。
校内を歩いていたら、知らない男子生徒に呼び止められた。
周りに人は居ない。
ズンズンとこちらに歩いてくる男子生徒は、私の前まで来ると、
「A、俺と付き合え。」
と、私の腕を掴んだ。
「なぜ？」
そう問えば、
「俺はわかってるんだ。お前は俺のことが好きだろ？」
勝手にそう言う、名前も知らない彼。
私の質問の返答になってないな。と、眉を寄せた。
以前、同じ質問をホンにした時と真逆の回答。
ポンとホンの笑顔が頭に浮かぶ。
"僕がAを愛してるから"
彼は笑顔でそう答えていたな。
「お前は今日から俺の女だ。」
威張って言う男子生徒にため息をつく。
言ってる内容はホンと変わらないのに、ホン以外の人が言うとこんなに不愉快なのね。
「断る。」
名前も知らない男子生徒の手を外して、言うと、彼は顔を真っ赤にして、
「なんだとっ、女の癖に生意気だ。」
と、手を振り上げた。
「Aっ！」
後ろに体を引かれ、ぎゅうっと抱きしめられる。
目の前を男子生徒の手が通り過ぎた。
彼は、私を叩くつもりだったらしい。
「Aを傷つけるのは許さない。」
私を抱きしめるホンが低い声で言う。
彼が、どんな顔をしているのか、抱きしめられている私にはわからないけど、男子生徒の顔がみるみる青くなっていた。
「ホン・ジス、お前っ、」
「僕は君を許さない。さっさと居なくなって？」
「チィッ」
舌打ちをして、男子生徒は、居なくなった。
うん、逃げたな。
「A、大丈夫？怪我してない？」
眉を下げて言うホンが、私を守ろうとしてくれたホンが、少しだけ、格好良く見えた。
それからも、ホンは、息をするように、私への愛の言葉を紡ぐ。
でも、ホンは、私の嫌がることは、絶対しない。
強制もしない。
付き合うなら、彼が、良いのかもしれない。
…
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作者名：ちな
| 作成日時：2022年11月10日 16時
