ぼくのパパ ページ1
▼
僕のパパは、僕と一緒に暮らしていない。
ジョージのとこの軍人のパパみたい。
ジョージのパパは、背が高くて、大きくて、格好良いんだ。
ジョージのパパに、肩車してもらったら、すごく高かった。
ジョージのパパは、帰宅すると、僕たちと外で遊んでくれるんだ。
あ〜、なんだっけ？
僕のパパについてだっけ？
僕のパパは…よくわからない。
パパは誕生日もクリスマスも帰って来ないから…。
おじいちゃんやおばあちゃん達、ルーカスおじさんやアレックスおじさんは、いつもいるけどね。
いつも居ないパパは必要なのかな？
「ノー！」
そう叫んで、起き上がる。
バクバクする心臓。
子どもに"必要ない"なんて、一番言われちゃいけないこと、だよ？
「えぇ、何？」
隣で寝ていたAが、目を擦りながら、体を起こした。
ぎゅうっと彼女を抱きしめる。
柔らかい、温かい、落ち着く。
「ジス、What's with you?」
僕を抱き返して、僕の背を優しく叩く彼女に、そう聞かれる。
「僕の息子が…」
「え、」
「いつも居ないパパは必要なのかな？って…僕は必要だよね？」
そんな、悲しいことを言わないで。
ヤバ、涙出てきた。
「ジスは…息子が居たの？」
僕から、体を離し、距離を取ったA。
「え、」
「知らなかった。」
そう呟いて俯くA。
「え、あれ？…息子？あれ？夢？」
あの子は誰だ？
顔も覚えていない。
夢？夢だった？
とりあえず、離れたAを抱き寄せる。
「アレは予知夢、そう、予知夢だよ。僕とAは、可愛い男の子を授かるんだ。」
そう呟けば、Aが、
「それで、"パパは必要なのかな？"って、ジスは言われちゃうの？」
そう僕に聞いてくる。
「あ、」
今のままじゃ、駄目ってことだよね。
僕は…。
「僕は、Aを愛してる。Aとの子どもも、愛してる。だから、必要ないなんて言われないように、頑張るよ。」
そう言うと、Aは、苦笑い。
「ん〜、まぁ、ほどほどにね。」
そう言って欠伸をしたA。
Aとの子どもなら、彼女に似た女のコが良いなぁなんて思ってたけど…
「息子…もいいかもしれない」
小さく口に出す。
Aに似ていれば、どちらでも、きっと絶対に可愛い。
「おやすみ、ジス」
さっさと寝ようとする彼女を抱きしめて、
「子ども、欲しいね。」
と、彼女の耳元で、囁やけば、
「いつか、ね。」
と、彼女は呟いて、夢の世界に旅立ってしまった。
…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 224人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちな
| 作成日時：2022年11月10日 16時
