何も知らない花京院【JOJO】 (ページ2)

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1章　出会いページ2

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　家族がしぬ。
　それは10歳の幼い少女の心にどれほどの傷を負わせるものか。

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「パパ…？ママ…？」

　日曜日の昼下がり、Aが公園で遊んでいる間に強盗が入り、Aの両親はころされた。
　両親の亡骸は目も当てられない、残酷なものだった。

　Aの両親は聖人君子と呼ぶに相応しい人物だった。
　困っている人を助け、導いた。何度も、何度も。

　Aはそんな両親のことが大好きだった。

　お葬式には名前も顔も知らないたくさんの人が参列した。両親に助けられた何人もの人がAを引き取ろうと、Aの助けになろうと声をかけてきた。

　「僕らの家族にならないか」
　「一緒に暮らそう」
　「なんでも頼ってね」

　Aはそれらを全て断った。私の家族はパパとママとお兄ちゃんだけだ、と。

　全てが終わり、何もわからないAのために色んなことをやってくれた叔母が両親の写真と小さな箱をAに渡した。

　小さくなった両親を見た時、初めて、Aは両親には二度と会えないということを理解し泣いた。

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　ひとりとは、こんなに寂しいものなのか。

　広いリビングの大きなソファーに座り、兄がくれたエメラルドグリーン色の石を触る。

「お兄ちゃん…」

　兄、花京院典明が家を出て1ヶ月と少し経つ。

　「父や母には内緒にしておいてくれ」と言い、大きな手で私の頭を撫で家を出たお兄ちゃんは、未だ行方をくらましたままだ。

　優しくて、賢くて、かっこよくて…いつも緑色の幽霊を連れているお兄ちゃん。

「会いたいな…」

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