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「すばる、続きやろーや！」
「はやくー」
サッカーボールを掲げてるのは、おそらく信五くん。
真っ白な肌がキラキラしてるのは侯くんや。
ホンマに仲良しになったんやなぁ。
「ほら、すばる行き？」
「……んー…」
「すばる？」
「おれ、帰るわぁ！！」
「えっ！？」
戻るのかと思えば「帰る」って……
サッカー、さっきまで楽しくしてたのに。
ほら、信五くん渋い顔してるよ…
「なんでやねん！ もっとやろうやぁ！」
「おれ、ねーちゃんと帰る！」
「ちょっ、すばる！なんでやの、遊びぃな」
「イヤや。ねーちゃんと帰る」
くりくりの目でまっすぐ見つめられて、逸らせるわけなんてない。
友達ほっぽってお姉ちゃんと帰るって……どんだけシスコン？
ほら、侯くんも唇尖らせてるし……
「わかった！」
「分かったの！？」
「よっし！ランドセル取ってくる！」
言うなり、児童センターの中に駆け込んでくすばる。
勢いで入ったのか、土足で上がりません！っておっきな声が聞こえた。
「すばるー……」
「ほな、私はここで」
「えっ？一緒に帰らへんの？」
「せっかくの姉弟の時間ジャマしたらアカンやん。水入らずってやつ？」
「えー……」
「じゃ、また明日な」
さっと片手上げて前に進んでく友達。
その背中を呆然と見送ることしかできない私は、その場に留まることにした。
「ねーちゃんおまたせ！」
「すばるー……よかったんやで、お友達と一緒に帰っても」
「おれはねーちゃんと帰りたいんや！」
これはもう聞かへんな。
しゃあなし、すばると並んで帰ることになった。
「ヨコ、ヒナ、バイバイ！」
「バイバイ！」
「また明日なー！」
ブンブン手を振る信五くんとは対照的に、控えめにふりふり左右に手を振る侯くん。
うーん、同じ関西の子でもこうも変わるんか……
「ねーちゃん、おれ駄菓子屋行きたい」
「ダメ。ご飯入らなくなってまうよ」
「えー……行きたい」
「アカン」
「ねーちゃんのケチ」
「なんとでも言いなさい」
ゆっくり、ゆっくり。
すばるの歩幅に合わせて歩くことにだんだん慣れてきた。
昔はトコトコ歩きで、今はちゃんと歩いてる。
成長したなぁ、なんて。
「ねーちゃん、はやい」
「あ、ごめんごめん。歩くの早かったか」
「もちょっとゆっくり」
「ごめんね」
ゆっくり、ゆったり。
まったく変わらへん景色も、隣にすばるがおるこの時間も、
あと何回そばにおれるんかな。
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作者名：たくさんのeighter作者様。 x他6人 | 作者ホームページ：
作成日時：2018年5月22日 23時
