キミはボクの宝物 vol.3 【kazunari.N】 (ページ2)

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ココロの穴ーside Nーページ2

慌ただしく過ぎ去った年末年始。

事前収録の特番の放送があったり、歌番組の生があったり。

年が明けて、事務所の人と毎年恒例の初詣にも行って、ようやくマンションに戻れたのは朝方だった。

数日間の正月休みを貰って、今日は年始一発目の“仕事始め”。

Aのいた会社のCM撮影の日だ。

「…………はよーっす」

いつものスタジオに到着すると、そこには既に集まっている嵐サン達。

雅「ニノっ！あけおめぇー(笑) ハイっ、おみやげ！！」

差し出してきたのは、得体の知れない顔料で染めたであろうショッキングピンクのTシャツ。

「何だよっ、この色っ！(笑)」

雅「カラシ色よりオシャレだろーが(笑)」

翔「ふはっ(笑) 確かにすげぇ色！」

そう笑う翔さんの手には玉虫色のTシャツがあった。

潤「ニノは？どっか行った？」

オレの目の前にコーヒーを置いてくれたJ。

「何処も行ってねぇよ？(笑) 領収の整理しに、2時間くらい実家に帰っただけー」

潤「毎年代わり映えねぇな(笑)」

そう。

元旦の日の夕方。

早朝に帰宅したオレはマンションで仮眠して、夕方に実家に戻った。

2月の確定申告の為の、毎年恒例の作業。

元々あんま金使わないし、領収もそんなにないんだけど。

今年は頻繁にAとメシ行ったのもあって、去年よりは多かった。

自分の部屋で整理をしながら、ふと窓の外に視線を向ける。

オレの部屋の窓から見える、Aの家。

もうアイツ、アメリカ行ったんだろうな……。

あの置き手紙があった日から連絡を取らなくなったオレ達は、勿論会うこともないわけで。

手元を動かしながらも蘇って来るのは、この部屋でAと一緒に過ごした想い出達。

一緒に昼寝した幼稚園の頃。

泣きながら手伝った、小学校の夏休みの宿題。

そして、2人で過ごした甘い時間。

15年前に味わった絶望感が、今もまた襲って来る。

心にポッカリと空いてしまった穴を、冷たい風が吹き抜けて行った気がした。

潤「そー言えば、今日……、Aちゃん来んの？」

何も知らないJが放った言葉。

オレ、ちゃんと上手く言えんのかな……。

「………アイツはもう、来ないよ」

あくまでも冷静に。

ポーカーフェースのニノちゃんって言われてるからね？

きっとみんなも上手く、騙されてくれるでしょ。

その時にタイミング良く、スタッフさんからのスタンバイの指示が上がった。