よだれアボカド ページ5
長い栗色の髪を揺らし、幹ちゃんがこちらに手を振って駆け寄ってくる。
「よかった、やっぱりAちゃんだった。髪型が違うから間違えたかと思ったけど、よかった。乗れたんだね。シャトルバス」
膝に手をついて、幹ちゃんが上目遣いで言う。私は自然と頭を下げた。
「ごめんなさい！最初、『来れない』って言ってたのに、私、急に」
「あはは。謝らないで、むしろ来れてよかったじゃない。私来てくれてすっごく嬉しい」
微笑む幹ちゃんは「髪、似合ってるよ。ずいぶん思い切ったね」と続けた。
「こっちこっち」と手招きする手嶋先輩が見えた。
その背後に青八木先輩が瞳を丸くしているのも目に入る。
私はカメラに電源をつけて、幹ちゃんとともにサポーターの皆さんの元へ向かう。
「ん？君は、マネージャーの友達か？あれ、でも、もしかして、君……」手嶋さんが首をかしげる。後ろから現れた青八木さんが耳打ちをした後、ポンっと手のひらに拳を打った。
「ああ、高橋さんか！髪型が違うから分からなかったぜ」
「おれもびっくりした、全然違う」と青八木さんも深く顎を引く。
また後ろから恰幅のいい影が現れた。
「タカハシさんトハ、彼女ノコト デスカ？」穏やかな笑顔で男性が私の顔を覗きこむ。青い目が綺麗なその背後からまた見知らぬ顔の男子が現れ「む、誰ですか？」と警戒の色をあらわにしていた。
「幹の友だちですよ。高橋さん。応援しにきてくれたんスよ」
寒咲さんも現れて、私に微笑んだ。
「お、お久しぶりです寒咲さん」
「間に合ってよかった。ギリギリセーフだな、高橋さん」
「はい！」
私たちのやりとりを見て、まず初老の方が手をこちらに差し出した。
「ワタシは総北高校自転車競技部の顧問、ピエールです。ホンジツはトモに感動を分かち合いマショウ」
私はほとんど鷲掴みされる形で右手を交わした。男の子の方も警戒していた表情から一転して、ピエール先生と同じく手を差し出した。
「僕は自転車競技部1年の杉本です。以後お見知り置きを」
「よ、よろしくお願いします」
私が恐縮しながら手を握ると、杉本君は満足そうにその手を握り返した。
「僕は自転車を高校に入る前からロードレースをやっています。もしわからないことがあったらなんでも聞いてください。この僕、杉本が丁寧に教えてみ」
そのときだった。頭上のスピーカーが「ピッ、ガガー」と音を立てた。誰もがスピーカーに目を向けて、耳に神経を集中させる。
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なおなお - 完結おめでとうございます。何度も読み返してます。読めて幸せでした、ありがとうございました。 (1月8日 2時) (
レス) id: 55ab2936ef (このIDを非表示/違反報告)
御堂筋クゥン推し - 素晴らしかったです (10月18日 6時) (レス) @page20 id: b81b403b28 (このIDを非表示/違反報告)
RIA__(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても素晴らしい作品でした。2年もの長い歳月をかけて御堂筋くんと向き合い出来た心を打たれる素晴らしい作品です。この作品を読めて幸せでした。ありがとうございました…！ (2023年3月2日 22時) (レス) @page20 id: ac39c61119 (このIDを非表示/違反報告)
いと - 出来ることなら、主さんの解釈・言葉の中で生きる御堂筋くんをもう一度、どんな形でもいいので見たいです。それくらいに完成度の高い、素晴らしい作品でした。完結おめでとうございます。素敵な作品をありがとうございました。 (2023年1月17日 19時) (レス) id: 2e3d0ac53d (このIDを非表示/違反報告)
いと - 弱虫ペダルの夢小説の中で、お世辞抜きに1番クオリティ高い作品だと思います。下でも書かれてる方いますが、主さん以上に、御堂筋くんにここまで向き合って下さった作者さんはいません。もう何回も何回も読み返しています。 (2023年1月17日 19時) (レス) @page19 id: 2e3d0ac53d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杞憂 | 作成日時：2021年2月27日 20時
