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らっかせいを啄めど ページ37

もはやこの部屋で変わらないのはカーテンだけだ。
自分の仕事がなかった焦りより、先に私が遺書を見つけていてよかった、という安心があった。けれど、そういえばあの遺書が昨日のあの後どこにしまったっけ、もしかして、この中に落としてしまったかもしれない、と不安が降りてきた。燃えるゴミの袋を一つ一つ解いて見ていくが、出てくるのは虫と紙ゴミばかりで、しかも袋は30、40も数があるため、見つけようがないと、見切りをつけた。惰性で比較的数の少ない、燃えないゴミの袋の口も開けていくが、あるはずない。

『それ』を見つけたのは、その時だった。燃えないゴミの袋に入っていた『それ』を持ってリビングに向かい、父が見ていたテレビを消した。

「なんでカメラまで捨ててあるん」

「えっ、だってそれもう使えないだろ」

「そうやけど」私は言葉がうまく出せなかった。
父に「使ってないだろ?」と純粋に驚いてる、みたいな顔にどう言えば伝わるか、言い方が自分で見つけられない。

「これ、おばあちゃんが昔使ってたやつなんよ。それに、おじいちゃんが生きてた頃は、これでいっぱい使って撮ってて、写真集出した時もこれで撮ってた。足が悪くなったから使わんくなっただけで、使えへんわけじゃないし」

「そうだったんだ」

「そうやで」

一、二分の沈黙があった。父が合点がいった、みたいな顔になって「A、そのカメラ使う?直したりできるんだな、完全に壊れてないし」と目に笑いを浮かべている。私はもう何も言えなかった。

「そういえば、これ拾ったんだけど」

呆然と立ち尽くす私に、父が手渡した。

「A、ありがとうな。部屋におばあちゃんの遺書落ちててな、見つけたくれたんだよな」

「あ、うん」

その後どうやって移動したのか覚えていないけれど、気づくと私は自分の部屋でおばあちゃんの遺書とおばあちゃんのカメラを持ち、学習机の前に座っていた。

いつ置いたかわからないスマホが、机の上で鳴った。
幹ちゃんからの電話だった。幹ちゃんとは最近ずっと電話でおしゃべりをしている。今日はインターハイのレース2日目だ。

「今日、なかなかいい調子だったの!」電話口で幹ちゃんの声を聞くと泣きそうになった。

「よかったぁ。2日目やけど、みんな大怪我してへん?」

「大丈夫だよ。でも、接戦でね……。けっこう体力消耗してて。2目のゴール間近だって、大変だったの。残り300mなんか特にすごくて」

いきおいまかせ石を穿て→←くやしいな好きでした



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niko(プロフ) - 続き楽しみです!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 5a93e0b570 (このIDを非表示/違反報告)
Aaa(プロフ) - 更新楽しみにしてました!!面白いです!!!応援しています! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 71d8bfbda5 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて一気読みしちゃいました!応援しています!次の更新楽しみにしています頑張ってください! (2021年1月30日 1時) (レス) id: c173f50722 (このIDを非表示/違反報告)
tiku - 御堂筋君だけじゃなく、今泉くんや坂道くんの描写もリアルで面白いです。総北メンバーと仲良くなる過程が見ててホッコリします。ずっと応援してます!無理せず頑張ってください! (2021年1月1日 1時) (レス) id: 198aa8db09 (このIDを非表示/違反報告)
こはたん - 面白くてついつい夢中で読んじゃいました。笑 次の更新楽しみにしています! (2020年12月25日 20時) (レス) id: a69cf6929b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杞憂 | 作成日時:2020年10月9日 22時

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