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しくじるなよと見くびる顔よ ページ20

「私だったら……ってこんな話は失礼だと思うんですが、チームから一歩身を引いて、相手の強さを認めるのは難しいじゃないかって思うんです、手嶋さん。チームでやってても、自分が一番強くありたいと思ったり、一番目立ちたいと思ったりしないんですか?」

私の問いに、手嶋さんはすぐ答えなかった。頬をかき、じっと手元を見つめて、言葉を探るようにゆっくり声を出す。

「なんというか、我ながら……卑屈だって思うが……でも、やっぱオレは、目立つとか、強く、速くなるとかじゃなく……チームの一員としてエースの意思を汲(く)んでやりたいんだ、一番」

だって、と手嶋さんは続ける。ボトルを磨く手にゴシゴシ力を込めて。

「田所さんが教えてくれたんだ。エースができないことを、俺たちが補って、それぞれができないことを、チームで補って。そうやって速く進めるようになる。……それがチームで戦うってことだ。だから俺は、俺一人で目立ちたいとは思わない。チームとして目立つのは大歓迎だけどな」

しばらく、垂直に落ちる水の音が響いていた。黙々と手を動かし、ボトルの黒いフタや『総北高校』とロゴ入りで半透明の胴体を洗い、磨く。でも頭ではたくさんの思惑が飛び交っていた。
チームで闘うことができるなら、私も御堂筋くんの役に立てるかもしれない。マネジャーじゃないし、サポーターでもない、ただの新聞部でクラスメイトだけど。こんな私でも、御堂筋くんの何かを補うことができるのかもしれない。泡にまみれる手元を眺めていた。
「そういえば」と隣で幹ちゃんがつぶやく。

「確か……今月の『サイクル』にもコメントでそんなことを言ってる選手いましたよね?」

手嶋さんが幹ちゃんの方に顔を向け、軽く頷いた。

「ああ、いたなァ。プロチームで活躍するエースの人。レース中の事故で右足を複雑骨折したが、奇跡的な復帰を果たしたっていう。インタビュー記事だっけか?」

「そうです、その記事です」

「あっ、それ……!」

私は思わず声をあげて、幹ちゃんの顔を見た。

「どうかした?」

「昨日今泉くんにもらった雑誌の記事、『読め』って言われてた記事……かも!」

「ええっ!?もらったってどういうこと?」

私は昨日の車での出来事を簡単に話し、自分がその記事をまだ読めてないことも3人に話した。すると3人はどこか合点がいったように頷き、「あれは読んだ方がいい」と声を揃えていた。

「そ、そんなに良い記事だったんですね」

いくどとなく呪えど→←いたいたしくて貴女らしい



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niko(プロフ) - 続き楽しみです!! (2021年2月24日 18時) (レス) id: 5a93e0b570 (このIDを非表示/違反報告)
Aaa(プロフ) - 更新楽しみにしてました!!面白いです!!!応援しています! (2021年2月23日 21時) (レス) id: 71d8bfbda5 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて一気読みしちゃいました!応援しています!次の更新楽しみにしています頑張ってください! (2021年1月30日 1時) (レス) id: c173f50722 (このIDを非表示/違反報告)
tiku - 御堂筋君だけじゃなく、今泉くんや坂道くんの描写もリアルで面白いです。総北メンバーと仲良くなる過程が見ててホッコリします。ずっと応援してます!無理せず頑張ってください! (2021年1月1日 1時) (レス) id: 198aa8db09 (このIDを非表示/違反報告)
こはたん - 面白くてついつい夢中で読んじゃいました。笑 次の更新楽しみにしています! (2020年12月25日 20時) (レス) id: a69cf6929b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:杞憂 | 作成日時:2020年10月9日 22時

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