いらだちを割り切る ページ14
「はは、小野田みたいなやつだな〜」
後ろの青八木さんも、表情こそ変わらないが、深く顎を引いていた。
「Aちゃん、そろそろみんな休憩で帰って来るみたいだから、飲み物持っていこっか」
幹ちゃんの指示で、私はあらかじめ部室の前に用意されてあった２つのクーラーボックスのうち、片方を抱えた。幹ちゃんがもう一方を抱えると、手嶋さんと青八木さんが部室から出て来た。
「助かるぜ。二人が選手に飲み物持って行っている間、青八木と俺は、先に明後日使う荷物を車へ積んでおくよ」
2年生のお二人は、寒咲さんと共に車の方へ向かった。私は幹ちゃんに連れられて、裏門の近くへ行く。
車から見たロードバイクが目の前で足を止めた。ユニフォーム姿の選手たちが肩で息をしながらこちらに来る。
「みなさん、お疲れ様です！」
幹ちゃんの声にならって、私もたどたどしく選手の方々にクーラーボックスから取り出したドリンクボトルを手渡す。
先頭にいたサングラスでガタイの良い人がこちらを見る。
「君は……？」
見下ろされた視線は心なしか鋭く、『部外者が来るな』と言われている気さえした。
「あ、あの、私」
憶測と、さっき裏返ったことが気がかりで、言葉がうまく続かない。そんなとき、幹ちゃんの手が私の二の腕をポンッと軽く叩き、私の見失っていた言葉を拾った。
「私の友達の高橋Aちゃんです。彼女も自転車好きで、今日はインハイの準備で大変だから、私が来て欲しいって頼んだんです」
幹ちゃんが「ね？」と私に微笑む。私は改めて選手の方々の目を見渡した。
「た、高橋Aと言います。今日は、その、どうぞよろしくお願いします」
深々とお辞儀をすると、肩に大きな手が乗った。
「俺は3年、エースの金城だ。今日はよろしく頼む」
私が顔を上げると、金城さんに続いて他の方々が口を開いた。
「俺は田所だ！3年でスプリンターだぜ、よろしくな」
「……3年。巻島、クライマーっショ」
その後にされた自己紹介も3年生と2年生ばかりだったため、私は肩を縮ませながら全員に頭を下げた。
「お前、なんか……小野田っぽいな」田所さんが呟くと、巻島さんが喉を鳴らした。
「言ったそばから本人の登場っショ」
裏門から伸びる道に、数個の自転車の影が現れた。目にも留まらぬ速さで、影が近くまでやってくる。私はドリンクボトルを３つ手に持って、小野田君たちに駆け寄った。
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niko(プロフ) - 続き楽しみです！！ (2021年2月24日 18時) (
レス) id: 5a93e0b570 (このIDを非表示/違反報告)
Aaa(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！面白いです！！！応援しています！ (2021年2月23日 21時) (レス) id: 71d8bfbda5 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて一気読みしちゃいました！応援しています！次の更新楽しみにしています頑張ってください！ (2021年1月30日 1時) (レス) id: c173f50722 (このIDを非表示/違反報告)
tiku - 御堂筋君だけじゃなく、今泉くんや坂道くんの描写もリアルで面白いです。総北メンバーと仲良くなる過程が見ててホッコリします。ずっと応援してます！無理せず頑張ってください！ (2021年1月1日 1時) (レス) id: 198aa8db09 (このIDを非表示/違反報告)
こはたん - 面白くてついつい夢中で読んじゃいました。笑 次の更新楽しみにしています！ (2020年12月25日 20時) (レス) id: a69cf6929b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杞憂 | 作成日時：2020年10月9日 22時
