「んんう」て首振る ページ12
ふと今泉君の買ってくれた雑誌の袋が床に寝ているのに目がいった。スマホの灯りを頼りに、取り出してページを大雑把にめくった。「絶対読め」と念を押されたページを探す。でもそれらしいページを探す前に、液晶画面が暗くなって、もう指から力も抜けて、私は雑誌を閉じた。「あとで探せばいいか」とスマホを持ち直し、寒咲さんにメッセージを送る。
「私でよければ、ぜひお手伝いしたいです」
窓の外では「ほぉほぉ」と呑気な鳩の鳴き声が、リズミカルにこだましていた。
◯◯◯◯◯◯
炎天下のなか、私たちの乗るKANZAKIサイクルのミニバンがゆっくり坂を登る。その真横を風のように抜き去ったのは、ロードバイクの群れだった。「やってんな」と運転席の寒咲さんが笑う。後方に乗る私は息を呑み、しみじみ「来れてよかった」と思った。助手席に座る幹ちゃんが集団を見送ったあとに「ふふ」と肩を弾ませ、
「来れてよかったって思ったでしょう」と声をかけた。
「な、なんで分かったんですか！？」
「顔に書いてるわよ」
バックミラー越しに目が合って、私は苦笑いを浮かべた。幹ちゃんの観察眼には敵わない。私は浮かれる気持ちをこれ以上表に出さないよう、気を引き締めて校門を横目に流した。幹ちゃんのお兄さんは、校門から駐輪場に隣接して設けられた駐車場へ車を停め、降りてすぐに後ろのトランクを開けた。
「よし、いったんコレとコレを部室に運ぼうか」
「は、はい！」
トランクから受け取ったのは５００mlスポーツドリンクが１２本入ったダンボールだ。下から抱えるように持たないと、うっかり足元に落としそうな重さ。
「重いでしょ、代わろうか？」幹ちゃんが私を見て言うけれど、「全然、大丈夫です。むしろ、持たせてください」とそれこそ顔に書く勢いで笑った。「おいおい無理すんなよ」と幹ちゃんのお兄さんの、寒咲さんも苦い顔をしている。そして寒咲さんは幹ちゃんに別の段ボールを渡し、車を閉め、最後に自分でも段ボールを２つ抱えた。
「っと、こんくらいか。とりあえず部室に持ってくぞ」
「お兄ちゃん、残りの荷物は後で運ぼうか？」
「あ、あの、それなら私が……」
「いや、俺がやっとくよ。高橋さんが来てくれたおかげで、残ってる荷物も少ない。にしても悪ぃな、休みの日に。助かるよ、高橋さん」
「そ、そんな。むしろ連れてきてもらえて、嬉しいです！力仕事、任せてください！」
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niko(プロフ) - 続き楽しみです！！ (2021年2月24日 18時) (
レス) id: 5a93e0b570 (このIDを非表示/違反報告)
Aaa(プロフ) - 更新楽しみにしてました！！面白いです！！！応援しています！ (2021年2月23日 21時) (レス) id: 71d8bfbda5 (このIDを非表示/違反報告)
チョコレート(プロフ) - 初コメ失礼します。面白くて一気読みしちゃいました！応援しています！次の更新楽しみにしています頑張ってください！ (2021年1月30日 1時) (レス) id: c173f50722 (このIDを非表示/違反報告)
tiku - 御堂筋君だけじゃなく、今泉くんや坂道くんの描写もリアルで面白いです。総北メンバーと仲良くなる過程が見ててホッコリします。ずっと応援してます！無理せず頑張ってください！ (2021年1月1日 1時) (レス) id: 198aa8db09 (このIDを非表示/違反報告)
こはたん - 面白くてついつい夢中で読んじゃいました。笑 次の更新楽しみにしています！ (2020年12月25日 20時) (レス) id: a69cf6929b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：杞憂 | 作成日時：2020年10月9日 22時
