12〈テゾーロとバーで〉 ページ13
.
今夜もカジノは賑わっていた。
昨日沢山勝負したのでしばらくは賭け事を休憩しようと思う。
上の階のバーのカウンター席でひとり、騒がしい男女のステージを眺めていた。
どこもかしこも落ち着かないなぁ。
テゾーロ「ひとりじゃ寂しいだろう」
『テゾーロ様…！』
どこからともなく現れ、隣の席に座ってきた。
『今日は黒の衣装なんですね』
テゾーロ「衣装ってわけじゃあない。今日のわたしは、オフなんでね」
だからテゾーロは周りに騒がれず、気付いたら私のそばにいたのか。
あのゴールドやマゼンダのスーツはどこから見ても目立つ。
テゾーロ「一杯どうです？ わたしと」
サングラスも前より少し落ち着いたデザインで、レンズ越しに私の顔を覗き込む。
ニッコリと引き上げた口角以外、表情が読めない。
『テゾーロ様はお好きなだけどうぞ。私はお酒弱いのでこのグラスで』
テゾーロ「つれないこと言うなよ。一杯くらい奢らせてくれ」
テゾーロは私の肩を引き寄せ、大きな胸板に頭を預ける形になってしまった。
テゾーロ「今日のドレス、とても似合ってるじゃないか」
『あ、ありがとうございます』
この人が言うとなんかいやらしい！ 昨日の腕枕の前科もあるし。
今日バカラと一緒に選んだ服を早速着ていた。
スカートが短くなり過ぎてないか気になって、こっそり裾を下に引っ張る。
テゾーロ「おや」
『…！』
裾を引っ張る手を上から大きな左手で握られてしまった。
熱い……男性の体温ってなんでこんなに高いんだろう。
そしてさすが大男、私の手の1.5倍以上も大きくて、余った指が私の太ももに触れる。
テゾーロ「こんなにセクシーなドレスだったとは」
私は無視するように目を逸らした。
目を合わせたら、
なんか、ヤバい。
あれ？ テゾーロの薬指…
今まで気づかなかったけど、この人殆どの指に指輪はめてる中で左手の薬指だけ何もつけてない。
ズキン。
男「あ゛あ゛あ゛あ゛！！ もう一回だ！ 」
男性の声が気まずい空気を壊した。
テゾーロ「おい、あれはなんだ」
テゾーロが近くの客に問う。
客「どうやらあの男ルーレットに負け続けてるみたいです。臨時収入を賭けて借金を返済するんだとか……」
男「俺には……！ 家族がいるんだ…！」
テゾーロ「ほぉう面白いことをやってくれる」
テゾーロが席を立つ。
まずい。この男のことだ、きっと騙して更に大きな借金を背負わせ、絶望に陥れるつもりだ！
そんなの……黙って見過ごせるわけがない！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 213人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
石セー(プロフ) - 妖狐の巴衛さん» 妖狐の巴衛さんコメントありがとうございます！ 励みになります…！休日は珍しくリア充してたのと、展開に悩み更新が遅れました。よろしければまた引き続きお付き合い下さい(*^^*)更新がんばりますー！ (2016年8月22日 15時) (
レス) id: ed6b37685e (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - 休日の引きこもりMさん» ご返信ありがとうございますー！早速読ませて頂きます♪ 楽しみです(*^^*) (2016年8月22日 15時) (レス) id: ed6b37685e (このIDを非表示/違反報告)
石セー(プロフ) - トモさん» トモさんご指摘ありがとうございます！本当だ…！直しておきます（＾_＾）ゞ (2016年8月22日 15時) (レス) id: ed6b37685e (このIDを非表示/違反報告)
妖狐の巴衛 - 続き頑張ってくださいね！ (2016年8月21日 20時) (レス) id: 5a1cf20238 (このIDを非表示/違反報告)
休日の引きこもりM - ありがとうございます♪私の作品は"世界は輝きに満ちている"という作品です！もしよかったら見てください！これからも応援しています(*^^*) (2016年8月21日 10時) (レス) id: 096d270057 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：石セー | 作成日時：2016年8月14日 14時
