ヨソのお話-14 ページ48
「若い子とさせてくれたお礼に、思通寺に内通してお手伝いしてあげまひょか」
朝一番に、なかなかの惨状で、金の髪を朝日に輝かせて玉藻が言ったのはそんな言葉だった。お礼も何もうまい話しすぎる。
信用できないファットガムに玉藻はあっさりと自分の正体を話せば、多少のジャネレーションギャップはあるものの警察から聞いていた時効になった幻術使いではないか。
でも、思通寺家は古美術商と同時に薬のバイヤーとしてマークされているところ。話が本当ならこんなチャンスはまたとない。
今としてみれば軽率な決断だったが、こうして玉藻は協力してくれている。けれど、常々疑問だった。
フ「玉藻ちゃん、何で俺達に協力してくれるんや？」
何のために、警戒すべきヒーローに協力しているのか。
玉藻の口調や行動はいつものらりくらりとしていて、でも隙がない。どれだけ想像を膨らませても見当もつかないのだ。
玉「くすっ、またその話？」
フ「しつこいのはわかってるけど、気になるやん。ここまでのことして、玉藻ちゃんに何のメリットがあるんか」
玉「さて、何やったやろなぁ？」
フ「ほらまた…って、あれ？」
そこだけくり貫かれたように瞬きのほんの一瞬で玉藻の姿が部屋からいなくなった。
慌てて椅子を立ち上がって、狭い空間のあちこちを見る。
玉「あら、そうなん？」
天「まあ…と言うか、ファットとの話は終わったんですか？」
ああ、またしてやられたか。
個性を使ってファットガムの意識から姿を消し、部屋の外へ出たのだろう。深いところへ入ろうとするといつもこうだ。
玉藻の奥底に触れられるのはいつになるやら。
ため息を一つ吐くと、ファットガムは重々しく腰を上げた。
・
玉「ああ、今さらやけど坊や雄英の子やったね」
見送りをしながら、週末インターンに新しい生徒が来ることを話していると思いついたように今さらな話をされる。
そう思われても仕方ないが自分はそこまでどうでもいい存在なのか。
またもサンイーターのテンションは暗くなる。
フ「何や、雄英に知ってる奴でもおるんか？」
玉「まあ、おるね」
固まったサンイーターに代わりファットガムが傘を渡す。
今日は珍しいことばかりだ。玉藻が自分から自分にまつわる話をするなんて。
玉「憎ったらしくて、ちっとも可愛いない女やわ。けど、会たら宜しゅうしてやってね？」
ここまで、殺気に満ちた玉藻を見るのもはじめてだった。
作者からのお知らせ(今回のは是非見てください！)→←ヨソのお話-13
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 41人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三日月(プロフ) - 凩奏詠さん» やったです！ありがとうございます！！宜しくお願い致しますm(__)m (2018年2月5日 21時) (
レス) id: 6f05e0595a (このIDを非表示/違反報告)
凩奏詠(プロフ) - 三日月さん» 承知致しました！思い付いたらその都度、になりますが宜しくお願いします！ (2018年2月5日 21時) (レス) id: e22f7985b6 (このIDを非表示/違反報告)
三日月(プロフ) - 凩奏詠さん» 全っ然大丈夫です！あの、こちらも差し支えなければ描いた度私にもイラスト見せてもらっても宜しいですか？ (2018年2月5日 21時) (レス) id: 6f05e0595a (このIDを非表示/違反報告)
凩奏詠(プロフ) - 三日月さん» こちらこそありがとうございます！差し支え無ければ、これからも描いていっても宜しいでしょうか？ (2018年2月5日 19時) (レス) id: e22f7985b6 (このIDを非表示/違反報告)
三日月(プロフ) - 凩奏詠さん» めっちゃ見えますよ、大丈夫です。ゴフッ！！(吐血)ヤッバイ、顔めっちゃ好みです…ありがとうございます！保存して、毎日見て、にやけますm(__)m (2018年2月5日 19時) (レス) id: 6f05e0595a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三日月 | 作成日時：2017年12月25日 1時
