102頁目 ページ13
オビside
今日は午前中に今日の分の仕事を終わらせたAの付き添いで、お姉さんのところに向かっていた
店に着くと、裾の方がほつれてしまったネグリジェを満面笑顔のお姉さんに手渡すA
似合うだろう服がそこらじゅうにあるのに、ウチの姫さんと来たらそれを手にとって見ることもせず見渡すだけだ
あくまで用事はネグリジェらしい
オ「フッ、そこのワンピースとか是非来てほしいんだけどなぁ」
あ「…胸元開きすぎだから却下ね」
オ「手厳しいね。一応、友達の作品だってのに」
あ「え…ああ、違うの」
頭の上に疑問符を浮かべた俺にAは首に下げた紐をつかんで引く
一番上まで閉めたブラウスから姿を現したのは7色に輝く石
あ「こうやって、胸元が詰まっているものを着ていないと、オビがくれたネックレスが汚れてしまうかもしれないでしょう？」
オ「あ〜、なるほど。だからいっつも服の下に隠してたのか。大切にしてくれてどうもね」
平常心装ってるけど、かなり嬉しい
あ「まぁ、あと動きにくいという問題があるのだけど」
オ「それは言わなくていい」
あ「？」
女「Aちゃーん！お待たせ！！」
好意を持った大声に相変わらず慣れないAは肩を揺らすとお姉さんのほうを振り返る
それに少しだけ笑みが溢れる
今までろくでもない人生送ってきたから尚更そう感じるのかもしれないんだけど、こういう何気ない日常がすごく落ちつく
…可能なら、時が止まってほしい限りだ
あ「オビ」
オ「ん、帰ろっか。それじゃお姉さん、ありがとね」
「お前はお呼びじゃなかったんだけどね」とでも言うような、明らかにAとの対応が違うジェスチャーに二人して可笑しく笑うと店を出た
最近になって漸く抵抗しなくなったAの手から荷物を取る
オ「他に用事はないかい？」
あ「えっと…ないわ。オビは？」
オ「俺もないかな。Aが行きたい場所があるなら別だけど」
あ「それもないわね」
オ「じゃ、少しぶらついてみますか。歩いてりゃ、何かにぶつかるでしょ」
あ「そうね。なら、荷物返して？」
オ「いいよ。俺そんな柔じゃないし」
前言撤回、まだ抵抗の意思はあったようだ
ドンッ
オ「おっと…おや」
あ「オビ？…あ」
足元を見下げる俺と急に立ち止まった俺を振り返るAの視線の先
子ども「うっく…ひっく…」
そこには目を潤ませた子どもがいた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 104人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三日月(プロフ) - ブルーフェザーさん» はじめまして、ブルーフェザー様。この作品は私の作品の中でも自信のある作品なので、何度もご愛読下さって本当に嬉しいです！ありがとうございます(^^) (2018年4月25日 18時) (
レス) id: 6f05e0595a (このIDを非表示/違反報告)
ブルーフェザー(プロフ) - 何度も何度も読み返したくなる小説です。私もう4回目くらいです。一度読んだらしばらく立ってまたふと読みたくなって戻ってきたくなる数少ない私のお気に入り小説です。 (2018年4月25日 18時) (レス) id: 1de7f7f4a1 (このIDを非表示/違反報告)
三日月(プロフ) - T.P.O.Kフード民さん» そ、そうでしょうか？でも、死ネタしか書けないのは悩みの種だったのでちょっと気持ちが和らぎました、ありがとうございます(TT) (2016年12月23日 11時) (レス) id: 6b5905d54f (このIDを非表示/違反報告)
T.P.O.Kフード民 - 死ネタしか書けないというのは、ある意味とてもすごいことですよ！死を柔らかく表現できる方は、とても文才があると思います。本当にこれからも頑張ってください！あとオビ作また書いてくれると嬉しいです……。 (2016年12月23日 10時) (レス) id: e26ac923f2 (このIDを非表示/違反報告)
三日月(プロフ) - TPOKフード民さん» ありがとうございます！！しかし、むしろ死ネタしか書けなくて困ってるぐらいなのですがね(--;)でも、そう言っていただけて本当に嬉しいです、本当にありがとうございますm(__)m (2016年12月22日 18時) (レス) id: 6b5905d54f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：三日月 | 作成日時：2016年6月22日 8時
