ハリポタ女優２ (ページ21)

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いっしゅん、ね？ページ21

ぽかぽかとあたたかい陽気の午後。

いつもなら休けいのときには、男の子は外で遊んでいることが多い。

そこに彼の姿がないことに気が付き、スタジオをお散歩することに。

「あら、外で遊ばないの？今日は暖かいわよ」

メイクの人、お姉さんもいれば少しおばさんな人もいるんだよね。

「やあ、A」

私が探していた声。

「こっちだよ」

手をひらひらとふるトムは、頭にラップを巻いている。

「あれ、もうその日だったっけ？」

１週間もたった気がしない。

「僕のブリーチで日付がわかるんだから、みんな感謝してよね」

彼のトレードマーク。

プラチナブロンドの調整。

髪を染めたことがないからイメージはつかないけれど、きっと髪の毛の負担はすごいんだろう。

「私はトムの地毛も好きだけどね」
「それはどうも、でも君のことだから全員に言ってそう」

いたずらっぽい表情をする。

君の場合ドラコに見えてくる。

とは思っても、撮影していないときくらい素でいたいだろうから言わないでおく。

「そういえば、さっきめんどくさいこと言われたの
　晴れてるんだし子どもは外で遊んだら〜って」

彼の眉が八の字になる。

「僕らは日焼けがご法度ってこと、メイクさんなら知ってそうだけど」
「あの人と中から入ってきたじゃん
　それにあの年代の人って健康優良児的なの好きっていうか」

どこか品のある笑い方。

エマがいたらまた『好きなところ言いまくり大会』が開さいされるところだった。

「ブリーチはうらやましくないけど髪洗えるのは良いかも」
「オイルとかスプレーとか、毛とは思えない仕上がりになってるしね」

トムが私のガチガチなそれを見ながら言う。

「最近思ったんだけど、結構共通点多くない？」

なに？挙げてみて、というふうに首をかしげられる。

またそんなあざといことしちゃって。

私が知ってるのはエマ１人だけど、他にもトムのことを良いと思っている女の子はたくさんいるに違いない。

「まずは撮影がかぶりがちでしょ、おか子同めい、あまり笑わないからお金をはらわない、
　ヘアセットに時間がかかる、役があるから日焼けはできない、」
「君、自分が笑っていないと思ってるの？」

彼の目がいっさい笑っていないので正直に答える。

「うん、まあ、ルパよりはね？」
「あいつと比べるなよ
　たぶん、もう２００ポンドは払ってる」

数秒目を合わせ、ぷっとふき出す。

良い友達に恵まれた。

後日エマにそう言ったら、『本当に友達だと思ってる？』と言われた。

いっしゅんひかれた、なんてね。