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私は生まれてすぐの頃に児童養護施設に預けられたらしい

当然親の顔など知らない。知ろうともしなかった。


施設に預けられ4年が経ち、僅か4歳ながらに心は冷めていた。

オトナに頼る方法を知らない私にとって唯一安心できる施設の人は、優しく温かい手でいつも私を包み込んでくれた
でもそれは皮膚だけの温かさであって心はいつまでも温まらないままだった

そんな氷に覆われたような私の心を溶かしてくれたのは年下の彼だった…





当時7歳、小学2年生の私は相変わらず心は冷めていた。
友達を作ろうとせず、先生でさえも信用できない
いじめや仲間外れにされることはなかったが、その頃から愛想笑いという"自分を守るための武器"を持った


施設に帰っても隅っこが私の定位置であってトイレ、飲食、睡眠以外はそこから極力動こうとしない


そんなある日、いつものように隅っこで座っているとボールが転がってきた
足に軽く当たったボール
私はそれを取らないでいると

『おい!!A!ボール取れよ!』

「…」

わたしは学校では笑顔を振りまくけど、施設ではそうしようとはしない
ずっと過ごしてきた施設で今更そういうことをする気にならなかった
だから施設の男の子に強く当たられることが多かった


『前いつも1人のくせに学校ではにこにこしてきもいんだよ!!!』

「…」

大丈夫こんなの慣れっこ

『みんなお前の悪口言ってるんだからな!』

「…」

『…っ!』


何を言っても無反応なわたしにイライラしたのか…

その男の子が私の近くまで来てボールを取って上に掲げたかと思ったら
わたしの頭すれすれに投げて来た


「っ…」

少し怯えた表情をした私を見ると男の子は満足そうに元の場所へと戻って行った



「…っっ」

慣れっこなのに慣れっこなのにぼやけてくる視界に歯止めはきかなかった

隅っこで顔を伏せながら声を殺して泣いた








すると上から降ってくる声

「ねぇねぇ、大丈夫?」


顔を上げないで答える

「…ほっとい、てっ」


「じゃあなんでそんなに泣いてるの?」


「、、、っうるさぃ」



静まり返った相手との空間



「…どっかいっ…て、、よ」




弱々しくなる声


小さな体が私を包み込む感覚







「大丈夫。大丈夫だから。僕が君を守ってあげる」


一度止まりそうな私の溢れ出たものをまた溢れさせた

一個下の男の子から言われたなんの根拠もない言葉

でも、その声色は何よりも優しかった

私の心にはじんわりと温かさが広がった

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ユキ(プロフ) - 岩ちゃんのストーリー楽しみです(*^^*) (2017年4月24日 21時) (レス) id: 85c74f920c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:mar | 作成日時:2017年4月7日 11時

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