32. K ページ32
久しぶりの藤ヶ谷とのキスだった。
唇を触れ合うだけの軽いキス。
もうあの日とは違う。
おれも藤ヶ谷も恋人がいない、お互いフリーになった。
「なぁ…藤ヶ谷…おれの気持ちは変わってないから…。」
藤ヶ谷の目が濡れていた。
「ずっと好きでいてくれたのに、俺が自分の気持ちに気付くのが遅くなってごめんな。
そのせいでニカも傷つけたし。」
藤ヶ谷は黙って聞いている。
時々鼻をすする音が聞こえてくる。
「でもやっぱりおれは藤ヶ谷が好きだ。いろんな人傷付けたけど、ニカが背中を押してくれたから…おれはお前と幸せになりたい」
仕事では背中合わせな俺たちだけど。これからは藤ヶ谷の隣で生きていきたい。
傷付きやすくて、繊細なコイツの隣にいたい。
ニカが言ってたみたいに、おれが隣で笑わせてやりたいんだ。
「ニカだけじゃないから」
そう言うとキョトンとした顔でおれを見てくる藤ヶ谷。
「ニカだけじゃなくて、たまも宮田も背中を押してくれたんだ…。俺たちに幸せになってほしいって」
「そっか…。」
「だから…俺と付き合ってみない?」
「…………………。やだ。」
えっマジか。
ここはうまくいくやつじゃねーの?あれ!?
「えっ!?マジで!?なんでなんで??おれら両思いじゃなかった!?」
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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時