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29. F ページ29

仕事が終わって家に帰ると、ニカからメッセージがきていることに気付いた。

今日は珍しくたまと宮田と3人で飯に行くって言ってたな…。
終わって解散したか?

2明日の夜会える?
Fおつかれさま。会えるよ
2ありがとう!んじゃ明日ね!

ここのところ、ニカは舞祭組での仕事が増えて来ていて、なかなか2人で会う時間がとれなかった。

でもそれはそれでホッとしていたのも事実…。

嘘をついて会うのを断って以来だ。




次の日、
テレビ番組の収録で一緒だったから、そのままニカと一緒に局を出た。

「ちょっと行きたいところがあるんだけど、いい…?」

てっきり俺の家かニカの家だと思っていたから少し驚いた。

「え?うん、いいけど…」

「じゃあ道案内するから、よろしくね!」

「どこ行くんだよ?」

「着いてからのお楽しみだよん♪」

久しぶりにニカの楽しそうな顔を見た気がする。
キスより先に進めないって悩ませたり、会えないって嘘ついてみたり…最近ニカを悲しませてばっかりだった。

でもこいつは全然責めてこない。
俺のほうが年上なのにほんとなにやってんだろう。
ニカが笑ってくれてうれしい。
純粋にそう思った。

これから先もこうやって2人で笑いあえたらって。


でも車を走らせてると、見覚えのある景色に嫌な予感がした。


「ニカ…行きたいところって…」

「あ、気付いちゃった?ミツのところだよ。」

送迎の時なんかで見たことがあった。
俺は移動の時でも眠れなくて、よく窓の外を眺めたりしてたからこの景色を覚えてた。

「なんで…」

「まぁまぁいいじゃん!さっきミツには今から行くって送っといたからさ」


ニカは北山の家によく行くんだろうな。
慣れた足取りで北山の部屋まで進んでいった。


ピンポーン…
ニカがインターホンを鳴らすと北山が答えた。

「早かったなー、今開けるわ」

扉が開いて北山と目が合う。

「あっ…藤ヶ谷…?」

「お疲れ…」

「ニカだけかと思ってたわ…」

「うん…俺も急に連れてこられたし…」

なんか気まずい。

「「………」」

「まぁまぁお二人さん、こんなところで立ち話もなんだから、中に入りません?」

「おまえんちじゃねえ!!」

「ふっふふっ…コントかよ(笑)」

久しぶりに笑った気がした。
北山はブツブツ文句を言いながらもリビングに案内してくれた。

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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時

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