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25. F ページ25

仕事が終わって、ニカは俺に目配せをして先に帰って行った。
俺も支度を終え、渉と帰ろうと思っていたら北山が渉に声をかけた。

「なぁ横尾さん」

「ん〜?どしたー?」

「ちょっと藤ヶ谷に話あるから先に帰っててもらってもいい?」

驚いて北山の方を見た。

北山の顔は、口は弧を描いているのに目が笑っていない。

「そっか。わかったー。
んじゃ、太輔、先に帰るね?」

「あ、う、うん…」

「んじゃミツもまたなー」
渉が帰って行く姿を目で追いながら、ドキドキと心臓がうるさい。



渉に手を振る北山。
パタン、と扉が閉まったと同時にこちらを見てきた。

「なぁ…」

「………」

思った以上に冷たい北山の声に、なにを言われるのかとこわくなる。

「やっぱり俺耐えらんねぇんだけど…。ニカんとこ行くなよ…」

ふわりと北山の匂いに包まれた。ぎゅっと北山に抱きしめられていた。

震えてる…?

「俺…ニカと幸せになれって言ったくせに…。全然応援できねーんだよ…」

「きたやま…」

「お前がニカと一緒にいるって思うと、キスしてんのかなとか…ヤってんのかなとか考えちまって…」

「なっ…」

「嫉妬で狂いそうになるんだよ…!」

そう言うと抱きしめる力が強くなった。


「さっきお前とニカが話してんの聞こえてきて…行くんだろ?ニカんち…」

「約束…したから…」

俺はカバンを掴むと楽屋を飛び出した。

そしてニカの元へ向かった。

北山から逃げた。
そうしないと北山への気持ちが溢れて止まらなくなりそうだったから。

でもこんな気持ちのままニカに会えなくて、俺はニカからも逃げた。

具合が悪いから1人になりたいと嘘をついて。

覚悟を決めたつもりだったのに…結局北山の言動1つでこんなにも揺れている。
そんな自分に嫌気が差した。

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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時

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