14. K ページ14
久しぶりにニカを飯に誘った。
最初は渋っていたが…
たぶん藤ヶ谷のところに行こうとしていたんだろう。
仕事のことで話しがあるというと、ミツのおごりね!と明るく返してくれた。
なんだか少し前のニカに戻ったみたいで安心した。
「やっぱミツとは焼肉だよね〜!」
「久しぶりだよな〜!お前付き合いわりぃんだもん」
「いやいや、遠慮してたんでしょーよ」
「遠慮なんて…彼女とはほとんど会ってねーし…」
「は?」
驚くよな。
一番最初に報告したのはニカだったから。
ほかのメンバーには言ってないけど、ニカ経由で藤ヶ谷と横尾さんは知ってるし、たぶんほかの3人も気づいてると思う。
彼女から告白されたけど、話しやすくて感じがいいなと思ってたから受け入れた。
一緒にいると落ち着けるし長く続くんじゃないかなと思ってた。
でも藤ヶ谷とニカのことがあってからはそのことしか考えられなくなって、彼女への気持ちもわからなくなった。
「ちょっとさ…聞きたいことがあるんだけど…」
「んー?なにー?」
明るい口調でニカが返してくる。
「お前と藤ヶ谷ってどういう関係…?」
「え…?なに言ってんの…ミツ…」
突然言われたことに驚いてるみたいだ。
心臓がドキドキうるさい。
たぶん聞きたくない答えが返ってくる。そう思った。
「お前と…あいつがキスしてるとこ見た…」
「ほんとなに言ってんのミツ!なわけ…」
「バレンタインの日…俺、藤ヶ谷泣かせて…追いかけてったらお前が一緒にいて…」
「あぁ…そっか…うん…」
「その…付き合ってるってこと…なのか…?」
「あー…まぁ…そうなるかな…。でも俺がつけこんだんだよ」
言ってる意味がわからなくて眉間にシワが寄る。
「ガヤにはずっと好きな人がいて、その人に恋人ができて。あんまりツラそうだったから…。俺が側にいて支えるって…」
「そうだったんだ…」
「最初は付き合ってたわけじゃなくて、ただ俺が一方的にガヤに構ってたっていうか。
それでもやっぱりツラそうで…見てらんなくて。キスして…告白した…」
藤ヶ谷に好きな人がいた。そして失恋してた。
ここ数ヶ月で見た藤ヶ谷のあの表情はそういうことだったんだ。
これからはニカがそばにいて支えていく。
大事なものを失ったような…喪失感が襲って来ていた。
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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時