13. K ページ13
頭が追いつかない。
見てはいけないものを見た気がして心臓がバクバクしてる。
最近二人の距離は近付いてた。
それはわかってた。弟が兄を慕うみたいな、そんなもんだと思ってた。
でも実際はそんなもんじゃない。
キスなんて…ましてや男同士で…。
別に嫌悪感があるわけでもないし、偏見もない。この特殊な業界にいて、男だけの事務所にいるんだから。
カメラなんてまわってない。だからドッキリでもないし、ネタでやってるわけでもない。
ネタだとしても藤ヶ谷の役目ではない。
ニカと宮田ならあることだけど…
じゃあ二人は…。
それに藤ヶ谷が泣いていた。いつもポーカーフェイスでなんでも隠すあいつが。
俺の前では泣いたことを隠すのに。
ニカにはそんなに心を開いてるってこと?
俺が知らないだけで、横尾さんには心を許して横尾さんの前では泣いているのかもしれない。弱いところもさらけ出してるかもしれない。横尾さんはお母さんみたいな人だから。
でもニカにもそうなんだ…。
言いようもない黒い感情が心を煽っていくみたいだった。
胸がざわざわして落ち着かない。
二人がいなくなるまで俺はそこから動けなかった。
結局俺は藤ヶ谷を不機嫌にさせたまま、撮影に入ってしまった。
結局なぜ藤ヶ谷が不機嫌になったのかもわからず、謝ることもできず1日が終わった。
あの日から数日が過ぎた。
ありがたいことに仕事が忙しい。
休む暇なく仕事をこなした。起きて仕事にいく。帰って風呂に入って寝る。それだけの毎日を過ごした。
あの日から藤ヶ谷とニカのことばかり見てしまう。思い出したくないのにあの日の光景が焼き付いて離れない。
それに隠しているのかいないのか…
なにも考えたくない。
彼女に会うのも億劫になり、本当に好きなのかもよくわからなくなっていた。
彼女からは会いたいというメールが来ていたが、忙しくてごめんという返事ばかりしていた。
藤ヶ谷とニカのことでモヤモヤしていてそれどころじゃない。
このモヤモヤはなんなんだ?
二人からはっきり付き合ってると報告されればスッキリするんだろうか?
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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時