11. F ページ11
気付いたらエレベーターに乗って最上階のボタンを押していた。
屋上に逃げて誰にも見つからないようなところに座った。
2月の外はまだまだ寒い。頭を冷やそうと思った。北山への気持ちさえも冷えてしまえばいいのに…
彼女からほかの人にあげてもいいよって言われたから、素直にそうしただけなんだ北山は。
でもさすがに俺は食べられないよ。
彼女の北山への気持ちがこもった物なんて。
俺はどう転んだってあげられない。
あげられないことが苦しいんじゃない。
北山にチョコレートをあげる特別な誰かがいて、それを受け取る北山がいる。それだけで胸が締め付けられるのに。
もう忘れたい。失くしたいんだこんな気持ちは。届かないなら。
気付いたら涙がこぼれていた。腫れると困るから流れるそれを止めずにただ泣いていた。
北山に見られてしまった。泣いた顔を。
急に泣き出して驚いただろう…なんて言い訳しよう…。
カツッと革靴が鳴る音が聞こえ、思わず肩がびくっとなる。
もしかしたら追いかけて来てくれたんじゃないか…
でも聞こえてきた声に安心した。
「ガヤ!」
「ニカ…っ…。」
「さっきエレベーターに乗るところが見えたから…」
「うん…。ニカ…俺もうダメかも…北山がっ…」
そう言った瞬間、ニカに唇を塞がれた。
もう何も考えたくなかった。
離れていくニカを見つめながら
「もう一回…」
と言っていた。
ニカはもう一度俺にキスをした。
「ガヤ…俺もう見てらんないよ…。
俺と付き合って…。ドロドロに甘やかしてミツのこと忘れさせてみせるから…」
「うん…ぜんぶ…忘れさせて…」
そして俺たちは3度目のキスをした。
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作者名:chika | 作成日時:2018年2月10日 7時