133 ページ38
あからさまに、プライベートでは話しかけるな、というオーラを出すユリを、正直俺は気に入っていて、だから、逆に構いたくなるんだけど。
勘違いしてほしくないのは、この「気に入ってる」は人としてのやつだ。オタクとしてはウォヌばっかで正直きもいし、女として、とかそういう気持ちもない。
推しのいるグループのメンバーなのに、同い年で別に興味ないからとずけずけと失礼なことを言うこいつには腹立つけど、多分向こうも同じことを思っているからおあいこ。
今も、「追っかけ？」なんて思ってもないことで揶揄えば、心底嫌そうな目を向けてくる。一応俺、アイドルなんだけど、お前の推してるグループの。
それから色々あって、ミンギュとスングァン、そしてウォヌもいることがわかり、おもしろいように青ざめるユリに笑いが出そうになる。変な男に絡まれてたし、合コンでもしてたのか、うけるな。
こいつ、ここでウォヌに会せたらもっと面白いことになりそう、と絶対に嫌がるであろう考えが浮かんで、さらに笑いそうになる。人にやられて嫌なことはするな、と小さいころに教えてもらったけど、今目の前にある面白いことにそんな教えは吹っ飛んじゃうね。
「もう帰るから、みなさんはどうぞ続きをお楽しみください」
「そんな遠慮すんなって」
「遠慮じゃないから！」
帰ろうとするユリを腕を掴んだまま引き留めていると、ついに耐えられなくなったのか、大きな声を出した。あーあ、これウォヌ起きちゃうんじゃない？せっかく今までのは全部寝てて聞いてなかっただろうに。居ることも知らなかっただろうに、残念だね。
「ユリヌナ？」
案の定、今までどれだけミンギュやスングァンが騒いでも、起きなかったウォヌがその声に反応する。姿は見えないのに、声だけ、しかも一言だけでわかるってウォヌもなかなかやばい気がしてきた。
なんて考えていると、払われるようにユリの手が離れて、まるで脱兎。一瞬のうちにその姿は見えなくなった。
「あー、おもしろ」
「あれ、帰っちゃったんですか？」
「ウォヌの声聞いて逃げるように出てった」
席に戻りながら、ウォヌの顔を見る。寝起きだからかいまいち状況が理解できていないようで、不思議そうに俺たちの顔をみていて、それがまた面白い。こういうのを見ても、多分ユリは「ウォヌかわいい」って言うんだろうな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 631人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆく(プロフ) - (名前)レンさん» コメントありがとうございます(^^)！うれしいです〜！すごく詳しいというわけではないんてすが、一時期通ってたことがあります（笑）でも作品中はちょっと脚色多めです（笑） (2020年10月19日 23時) (
レス) id: 26d964f28e (このIDを非表示/違反報告)
(名前)レン(プロフ) - はじめまして！いつも楽しく読ませていただいてます。主様地下アイドル事情にすごく詳しいですよね、昔どこかのファンだったりしたんですか？すみません、なんだか地下アイドルに興味出てきちゃって笑笑 (2020年10月19日 22時) (レス) id: 7ddd2a9a14 (このIDを非表示/違反報告)
ゆく(プロフ) - まリんさん» コメントありがとうございます(^^)！わたしも書いてて現場が恋しくなってます（ ; ; ）笑 これからも頑張りますのでよろしくおねがいします〜！ (2020年10月19日 8時) (レス) id: 26d964f28e (このIDを非表示/違反報告)
まリん(プロフ) - はじめまして！お話、とっても面白くて一気に読んでしまいました！！！オタクのノリが臨場感溢れてて現場が恋しくなりました（笑）構成も書き方も全て好みで最高です！！これからも楽しみにしています！！ (2020年10月18日 10時) (レス) id: a67cbb63c3 (このIDを非表示/違反報告)
ゆく(プロフ) - ぴおさん» ありがとうございます(^^)！そう言っていただけて本当にうれしいです（ ; ; ）ホシは動かしやすいので無自覚にウォヌを煽る要因です（笑）★5とてもとてもうれしいです〜！いつもありがとうございます！ (2020年10月18日 1時) (レス) id: 26d964f28e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆく | 作成日時：2020年10月12日 19時
