わたし、地下アイドルのオタクです２

82 Rumors ページ35

　
　
　
　
　
今日は平日、わたしはCafe houxでバイト中。全然お客さん来ないけどこの店大丈夫かな、なんてカウンター越しに店の入り口を眺める。もう１時間くらい開いてないんだけど、ちゃんとお店の前の前の看板OPENにしてあったっけ。いや、それまではお客さん来てたしなってるか。
　
　

「ひまだ…」
　
　

お客さんがいないのをいいことに、ぐぐっ、と大きく伸びをする。スマホはロッカーだし、同じシフトの子は裏で仕込みをしているしで話し相手になってくれそうもない。本当に仕込みをしているかはわかんないけどね、こないだそう言って彼女と電話してたしな。まあ、暇だからいいんだけど。
　
ぼんやりと店の入り口を見つめる。次はいつ開くだろう、もしかしてもう開かないかも、なんか考えていると、カランカラン、と音がして扉が開く。あ、お客さん来た。
　
　

「いらっしゃいま、ええ」

「よう」
　
　

１時間ぶりのお客さんの姿に、目を見開く。黒ずくめの服装に、真っ白な肌。少し前、SEVENTEENとのツーマンで見た、その人。
　
　

「ユンギさん…」

「ひさしぶり」

　
　
BTSのSUGA、ことユンギさんだった。

わたしはすごく驚いているのに、向こうは全然驚いてなくて、もしかしたらわたしがここで働いているのを知っていたのかもしれない。いや、なんで？だとしても来るのおかしくない？ユンギさんが何で来たのか全然わからない。
　
　

「なんでここにいるんですか」

「スタッフに聞いた、連れのバイト先にお前がいるって」

「ああ、ジウの。いや、だとしても何で来たんですか」
　
　

ひさしぶりに近くで見るユンギさんは前とあまり変わらない気がする。BTS時代はグク推しだったけど、ユンギさんのところにも良く遊びに行ってたから、懐かしい。ユンギさんはかわいいというよりおじいちゃんみたいな安心感を感じてしまう。そういえば前に一回、じいじって呼んだらチェキ券破られたなあ、あれはこわかった。

　
　
「こないだのツーマン、来てただろ」

「ああ、行きました行きました。ユンギさんびっくりしてたでしょ」

「まじでびっくりした、１年も顔出さなかったくせに急に現れたから」

「わたしもびっくりでした」
　
　

まさか前の推しグルと今の推しグルがツーマンするって聞いて。へらり、と笑うわたしになぜか複雑そうな顔をするユンギさん。どうしたんだろうか。ユンギさんは周りを気にするように店内を一周眺めて、眉を顰める。
　
　
　
　
　
　

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