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「お前のために探ってやったんだろうが、凪」
『…だそうですけど』
「え〜」
「Aに振られたあとの凪、マジで大変だったんだからな」
「人生で一番落ち込んでたから」
『大袈裟な』
「いや、マジで病んでたから、コイツ」


本当に?という表情でこちらを見つめて来るから、頷いて見せれば照れくさそうな顔をする彼女。
いちいち反応が可愛すぎて、やっぱりキャリーケースに詰め込んで連れて帰りたくなってしまう。


「ま、凪のAへの一途さは俺が保証すっから。安心して内定辞退しとけよ」
『…分かりました』
「お前がこっち来んの、俺も楽しみにしてっから」
「Aは俺のために来るんだからね、玲王」
『ふふ、ありがとうございます』


そう言って彼女は安心したように笑うから、少し悔しいけれど玲王も居てくれてよかったなと思う。


『じゃあ、怪我とかに気を付けて頑張ってください』
「ん、次は迎えに来るね」
「残りの学生生活楽しめよ」


そう言って俺たちをいつもの笑顔で見送ってくれる彼女に、後ろ髪を引かれながらもゲートを過ぎた。


「しかし本当に良かったなぁ、凪」
「ん、ありがと。玲王のおかげだよ」
「俺はちょっと背中押しただけだよ。本当にお互いに好きなんだな、お前ら」


なんて笑う玲王に付き合った報告をした時は、自分のことのようにすごく喜んでくれた。


「まぁ俺の方がAのこと好きな気持ちは大きいけどね」
「けど、大学卒業後にこっちに来てくれるって決意してくれたんだろ?Aの愛情も大したもんだろ」
「…そうだね、そうかも」
「普通そんな覚悟なかなか出来ねーよ。俺らは自分のために渡英したけど、Aは他人のために渡英すんだから」


その玲王の言葉に、たしかになと納得する。

俺はすべてをかけて彼女を幸せにする覚悟があったし、安心して着いて来てくれればいいのにと思っていたけれど。
彼女が今まで築いて来たものを、俺のために日本に置いていく覚悟をたったの1、2ヶ月でしてくれたのだ。


「…あー、やばい」
「何がだよ」
「ちょー好き、もう会いたい」
「はいはい、お惚気ごちそーさん」
「今すぐAを抱きしめたい気分」
「あと8ヶ月後まで我慢だな」
「むり、死ぬ」


そう言って足を止めた俺を玲王がいつものようにズルズルと引っ張ってくれた。


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chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» こちらの都合で申し訳ないのですが、今は別の作品を練っているのでまた気持ちがこちらの作品に向いたら書けたらなと思っております。気長に待って頂けると嬉しいです、よろしくお願いいたします…! (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» 作品を読んでくださり、またそんなふうに言っていただきありがとうございます!いずれこの話の短編というか小話を書けたらと思って続編リンクを貼っておりました。なかなかいいアイディアが思い浮ばずこのままになっており申し訳ありません。 (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
animestarmyu042(プロフ) - 続きが気になります。 (3月11日 21時) (レス) @page50 id: f7f1d51caf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月24日 21時

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