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あの日重ねたページが靡く ページ35

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「ねぇ、その恋人いるっていうの何なの?」
『まだ惚ける気なんですか?』
「だって本当にいないし」
『…あの日、本当は聞いてました。電話で話してるの』


すべて分かっている、とでも言いたげな表情の彼女。
けれどその理由は予想外のもので、思わず戸惑う。


「…え、だったら何でそんな勘違いになるの?」
『は?』
「俺もしかしてゲイかなんかだと思われてる?」
『…何を言ってるんですか」
「俺、付き合ってないよ、玲王と」
『…さっきから本当に何言ってるんですか。馬鹿にしてます?』


彼女はイラついたような表情になるから、ますます意味がわからない。


「電話で話してるの、聞こえてたんでしょ?」
『…そうですよ』
「俺が何話してたか覚えてる?」
『覚えてます』
「何て言ってた?」
『…好きって』
「え?」
『好きだよって、言って、ました』


その言葉にようやく勘違いの原因に気付く。
けれど彼女はそれと同時に目から大粒の涙をポロポロと流し始めるから、焦ってしまう。


「ちょ、A?」
『ど、して…何で、こんな酷いことばっか、するんですか』
「…待って、泣かないで」
『ずっと、高校生の頃から、ずっと好きだった、のに。好きな、だけなのに…』
「落ち着いて、A」
『も、やだ…先輩なんて、大嫌いぃ…』


どうしよう、何これ、可愛すぎる。

彼女は怒って泣ているけれど、俺は今までずっと知りたかった彼女の気持ちを知ることが出来て幸せの絶頂で。
胸がいっぱいになって思わず彼女を抱きしめた。


「ねぇ、何それ。可愛すぎるんだけど」
『も、やめて、ください…これ以上、期待させないで…』
「期待してよ」
『やだ、好きな人の、2番目なんてもう、嫌なの…!』
「2番じゃない。俺にはAだけだよ」
『何それ、ほんっと、最低…!!』


勘違いして俺の腕の中でジタバタする彼女がやっぱり可愛くて愛おしくて、腕に力が込もる。
どんな表情をしているんだろうと思って腕の中を覗き込めば恐ろしく可愛い表情をしていて。


「いい子だから、一回俺の話聞いて」


そう言っておでこに一つキスを落とせば、ポカンと口を開けて驚いていた。


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chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» こちらの都合で申し訳ないのですが、今は別の作品を練っているのでまた気持ちがこちらの作品に向いたら書けたらなと思っております。気長に待って頂けると嬉しいです、よろしくお願いいたします…! (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» 作品を読んでくださり、またそんなふうに言っていただきありがとうございます!いずれこの話の短編というか小話を書けたらと思って続編リンクを貼っておりました。なかなかいいアイディアが思い浮ばずこのままになっており申し訳ありません。 (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
animestarmyu042(プロフ) - 続きが気になります。 (3月11日 21時) (レス) @page50 id: f7f1d51caf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月24日 21時

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