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部室に入れば、真剣な表情で机に向かう彼女がいた。
こんな顔もするんだ、なんて初めて見る表情にまた胸がきゅっと締め付けられる。

イヤホンで何かを聴いているらしく、こちらには気付いていない。
ちょっとした出来心で、イタズラしてみようと静かに彼女に近づいてイヤホンを抜き取れば


『ひぁ…っ!?』
「あ、ごめん」


薄らと目を潤ませながら顔を真っ赤にして驚いていて。
漏れ出た嬌声にこちらまで驚きつつ、その表情にふつふつと欲が湧き上がる。


『び、っくりした…凪先輩』
「声かけたんだけど、聞こえてないみたいだったから」
『すみません、音楽聴いてました…』
「集中してたね」
『記録、溜まってたんでまとめてたんです』
「へぇ」


平然を装いながら、彼女に覆い被さるようにして手元を覗き込む。
すると距離が近くなったせいで、彼女の少し甘い、優しい香りがふわりと鼻を掠める。

自らを追い込むようなことをしてしまい、近い距離を嬉しく思いつつ内心後悔していた。


「…こんな仕事もあるんだ」
『そうなんです。最近時間が足りなくて、後回しにしちゃってて』
「ふーん…」


話なんて、半分ほどしか聞けていなかった。
ドクドクと煩い心臓を落ち着かせようとするのに、彼女の視線がそれを許さない。


「…見過ぎ」
『え!?あ、ごめんなさい…!』
「…見惚れてた?」
『いや、えっと…!』
「顔、真っ赤だけど」


こんな表情、勘違いするなと言う方が難しいと思う。
どんどん膨らんでいく欲に抗えない。


『…せ、んぱい?』
「…ごめん」
『え?』
「…ごめんね」


きっと君は、あの翔という男が好きなんだろうれけど。
そんなの認めたくもないし、願わくば俺と同じ気持ちを俺に対して抱いて欲しい。

そんな願いを込めて唇を重ねてみれば、その柔らかさに理性を手放す。
本能のままにそれを繰り返せば止まらなくなって、ただただ彼女に夢中になっていた。


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.→←青春の1ページにひとつ垂らした汚点



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chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» こちらの都合で申し訳ないのですが、今は別の作品を練っているのでまた気持ちがこちらの作品に向いたら書けたらなと思っております。気長に待って頂けると嬉しいです、よろしくお願いいたします…! (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» 作品を読んでくださり、またそんなふうに言っていただきありがとうございます!いずれこの話の短編というか小話を書けたらと思って続編リンクを貼っておりました。なかなかいいアイディアが思い浮ばずこのままになっており申し訳ありません。 (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
animestarmyu042(プロフ) - 続きが気になります。 (3月11日 21時) (レス) @page50 id: f7f1d51caf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月24日 21時

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