あなたは知る筈 ページ14
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それからまた月日が流れて、卒業式の日。
この日まで、毎日のように彼女を思い出しては気持ちを伝えなかったことを後悔をしていた。
そのうち忘れられるだろうなんて、自分の執着心や未練がましさをかなり低く見積もっていたらしい。
だからこそ、どうせ会えなくなってしまうのだからせめて気持ちだけでも伝えて日本を出ようと心に決めていた。
「おい凪、写真撮ろうぜ」
「えー、めんどくさい」
「卒業式の日くらい、その言葉封印しろよ」
「むり」
中庭には同級生や後輩たちがごった返していて、各部活で集まりながら言葉を交わしたり記念撮影をしていた。
「御影先輩、凪先輩!ご卒業おめでとうございます!」
「おぉ、お前ら!ありがとな」
「ども」
「先輩たち、いつ出発なんですか?」
「来週には出国する予定」
「スゲェ、先輩たちのプレーがプレミアで見れるなんて」
「期待しとけよ」
「ちょ、サインお願いしていいですか!?」
なんて玲王は後輩たちと盛り上がっている。
それを横目にAの姿を探すけれど、何故か見当たらない。
「…Aなら、熱出して欠席ですよ」
「またお前かよ」
「えぇ、せっかく教えてあげたのに」
「俺お前のこと苦手なんだけど…」
「恋敵だから?」
「何なの本当、めんどくさい」
「…まぁ、俺もAのこと傷つける奴は許せないんで。凪先輩のこと苦手ですよ」
なんて軽蔑するような笑みを向けてくる。
Aのことになるとやたら絡んで来るからめんどくさい。
「…だからこそ、いつまでもズルズルいられんのも嫌なんですよね」
「…何の話?」
「どうせ海外に行くなら、ハッキリさせてから行ってくれると助かるんですけど」
「さっきから言ってる意味が分からないんだけど」
「…とりあえず、電話番号教えてもらえます?」
「…やだよ、お前と連絡取ることなんてないし」
「へぇ、いいんすか?」
なんてスマホを差し出してくるから、何かと思って画面を覗き込めばAの連絡先が書かれていた。
「…何のつもり?」
「どうせまだ好きなんでしょ、Aのこと」
「……」
「Aの連絡先教えるんで、さっさとフラれてください」
「は?」
「それでAのことはさっさと忘れて、あっちで恋人でも何でも見つけてくださいよ」
そんな翔の言葉に、思わずポカンと口を開ける。
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chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» こちらの都合で申し訳ないのですが、今は別の作品を練っているのでまた気持ちがこちらの作品に向いたら書けたらなと思っております。気長に待って頂けると嬉しいです、よろしくお願いいたします…! (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
chiito(プロフ) - animestarmyu042さん» 作品を読んでくださり、またそんなふうに言っていただきありがとうございます!いずれこの話の短編というか小話を書けたらと思って続編リンクを貼っておりました。なかなかいいアイディアが思い浮ばずこのままになっており申し訳ありません。 (3月13日 17時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
animestarmyu042(プロフ) - 続きが気になります。 (3月11日 21時) (レス) @page50 id: f7f1d51caf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月24日 21時