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『ん…実は、高校の頃からずっとあの人に片想いしてた』
「えー！待って何それ！」
「そんな話今までしたことなかったじゃん！」
『叶わないと思ってたし、諦めてたから』
「けど叶ったってこと！？」
「すごい、よかったじゃんA！」
そう言って自分のことのように喜んでくれる2人。
彼女たちにまだ付き合っている訳でもなければ関係が変わった訳でもないとはとても言えない。
『…また今度、時間あるときにいろいろ報告させて』
「えー、めっちゃ聞きたい！」
「合コンなんて行ってる場合じゃないじゃん！」
「よし、Aはキャンセルね！」
『ん、ありがとね』
先輩に会えば、今夜こそ私たちの関係に名前を付けてくれるのだろうか。
けれどもしそうなったとして、先輩は海外で私は日本で暮らしているわけで。
お互い同じ気持ちだったと分かり嬉しい気持ちと、先のことが分からない不安な気持ちがごちゃ混ぜになっていた。
その日の講義がすべて終わり、友人たちと別れたタイミングでスマホが鳴る。
『…もしもし』
「もう着いてるよ、正面玄関の近くに路駐してる」
『…本当に車なんだ』
「え、どういう意味？」
『いえ、とりあえず向かいますね』
「黒のちょっとでっかいやつ、この一台しか今いない」
『ん、分かりました』
そう言ってキャンパスを出ればすぐに車は見つかった。
『すみません、お待たせしました』
「ん、お疲れさま」
『ありがとうございます』
「ね、さっきのどういう意味？」
『あぁ、先輩本当に運転するんだと思って』
「あっちで普通に運転してるからね」
『よかった、ペーパーじゃないんだ』
「本当たまに生意気言うよね、Aって」
『ふは、痛いです』
なんて言いながら頬を摘まれる。
今までどんな会話をしていても勝手に想像した彼女の姿がチラついて辛かったのに、今はそれがない。
それだけで既に幸せで自然と頬が緩んだ。
「…A、ニコニコしてる」
『…変ですか？』
「ううん、かわいいし嬉しい。今までこんな風に笑ってくれなかったから」
そう言って先輩が優しい表情をするから、胸がきゅっと締め付けられた。
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作者名：chiito | 作成日時：2023年4月14日 20時
