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先輩が卒業してしまっても私の生活は変わらなくて、ただただ勉強と部活の日々が続くだけだった。

海外に行ってしまった先輩の活躍は、どんなに情報を避けようとしても自然と入って来てしまった。
それをきっかけに思い出しては苦しくなって、後悔してを繰り返す。

けれどもちろん楽しい時間も思い出もたくさんあって。
だからそんな日々とも今日でお別れだと思うと自然と涙が出た。


「A先輩が泣いてる…」
『卒業するの寂しい…』
「可愛い顔が台無しですよー!」
「けど泣いてても可愛いっす!」


可愛い後輩たちが口々に褒めてくれるから、なんだか少し照れ臭くなる。


『…私って可愛い?』
「…まぁ可愛んじゃね?」
「何言ってんすか、A先輩は我が部の天使なんですから!」
『私サッカー部の天使なんだって、翔』
「へぇ、知らなかった」
「翔先輩は最後まで素直じゃないっすね」
「おい、俺が卒業するからって調子乗んなよ」


なんて最後まで大騒ぎするサッカー部のみんなを見ていれば、いつの間にか涙は引っ込んで。


「A、二人で撮ろうぜ」
『ん、いいよ』
「結局俺たち、高校3年間で一回も彼氏彼女できなかったなー」
『写真撮ろうって言ってるのにそんな暗い話題やめてよ』
「はは、悪ぃ」
『…けど翔が居てくれたから、彼氏が出来なくても私は楽しかったよ』
「…そんなん俺もだし」
『大学行っても遊ぼうね』
「おう」
『たまに美味しいもの奢ってね』
「何でだよ」
「あー、またA先輩と翔先輩イチャついてる」
「イチャついてねぇし」


そんな話をしながらみんなで写真を撮っていれば、自然と笑顔になっていた。


「Aー!写真撮ろー!」
『あ、うん!いま行くー!』
「えぇ、A先輩行っちゃうんすか」
『友達ともまだまだ写真撮らなきゃだから』
「あっさりしてんなぁ」
「また部活にも遊びに来て下さいね!」
『うん、ありがとう!またね、みんな』


そう言って手を振り、今度は仲のいい友達やクラスメイトたちの元へ行ってたくさんの写真を撮って。
この日、私は凪先輩と出会った白宝高校を卒業した。


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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月14日 20時

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