検索窓
今日:321 hit、昨日:261 hit、合計:83,763 hit

臆病な僕は目を逸らす ページ25

.


「じゃ、凪くんはAの手作り弁当の分もしかと働きAを護衛したまえよ」
「本当いつ見ても偉そうだね高橋さん」
「そうだよ香奈、言い方があるでしょ」
「そうだそうだ」
「凪くんうるさ」
「高橋さんのがうるさ」
『仲良いね、2人とも』
「Aさんの目って節穴なの?」


放課後、そんな話をして香奈と美咲と教室で別れた。


『今日も凪くんのおかげで早く終わったね』
「俺偉くない?」
『うん、偉いね』


凪くんは机に頭を乗せながらこちらをジッと見つめて来る。
思わずその白い頭を撫でれば、気持ちよさそうに目を閉じた。


『ふふ、凪くん大型犬みたい』
「そう?Aさんは小動物って感じ」
『大きい凪くんから見ればみんな小動物なんじゃない?』
「そうでもない。てかそもそも興味ない」
『え、何に?』
「他人に?」
『あはは、何それ』


そう言って何故か考える素振りを見せる凪くん。


「…けど、Aさんには興味ある」
『え、私?』
「うん…何でだろ」
『うーん…お隣さんだから、とか?』
「そうなのかな」
『分かんないけど』
「…何か考えるのめんどくさくなってきた」
『あはは、そっか』


笑ってそう言えば彼は少し目を見開く。


「Aさんってさ」
『うん?』
「俺がめんどくさいって言うの、どう思う?」
『え、どう思うって?』
「…何言ってんだろ、俺」
『んー、どう思うかぁ…』
「いいよ、今の忘れて」


そんな風に言うのは、そのことで何か思うところがあるのだろうか。
勝手にそんな憶測をしてしまえば、正解は分からないけれど何かしら答えたいと思ってしまう。


『頭の回転が早いのかなって思う』
「え?」
『さっきもめんどくさいって言う前に、いろいろ考えてたでしょ?』
「…まぁ、ちょっとだけ」
『だから、いいと思う』
「え、何が?」
『凪くんが、めんどくさいって言うの。いろいろと考えた上で言ってるんだから、いいと思うよ』
「…そんなの初めて言われた」
『そうなの?』
「もっと考えろとか、めんどくさがるなって言われることの方が多いから」
『じゃあその人は凪くんがいろいろ考えてることに気付いてなかったのかもね』


そう言って笑えば、凪くんの目をぱちぱちとさせていた。


.

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
180人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

chiito(プロフ) - Saeさん» Saeさん、はじめまして!そんな風に言っていただけるなんてすごく嬉しいです…!!こちらこそ本当にありがとうございます(;o;)♡ (6月4日 23時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
Sae - これ神作ですね…!!いつも癒やされてます!!本当にありがとうございます〜♡ (6月4日 22時) (レス) @page34 id: ce5901011e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:chiito | 作成日時:2023年4月5日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。