花の日にうまれた君に

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side:Ren


なんとなく時間が空いて、そう言えば最近連絡ないなって大西さんに電話をしたら出てくれなくて。
これまたなんとなく胸騒ぎがして、自分でも鬱陶しいなって思うけど何回も鳴らした。
ほんまにその時初めて着信に気づいたんか、それとも俺のしつこさに観念したんかわからんけど、
電話にでた大西さんは声に全然元気がなくて、聞く前からまだ解決してないってわかる。

大吾の話をして、その後はお互いの仕事の話とか学校の話とかして、気づけば2時間近く時間が経っていた。
最後は大西さんも大分明るくなっていたけど、俺との電話を切った後はどうかわからん。
こういう時に会える距離にいたら、もっともっと力になれるのに。


廉『...ほんまは嫌やねんけどな』


この件に関しては大吾を手助けする気は正直あんまりなかったのに、お節介かもしらんけど大西さんとの電話を切ったその手でもう1人にすぐ電話をかける。
呼び出し音がしばらくした後に、


「はいはい、どした」


こっちは1回目で電話がつながる。
後ろは騒がしくて、多分まだみんなと一緒におるんやろう。
今日が公演最終日やったはずや。


廉『おー、お疲れ！今日ラストやろ！』

「おん。ありがと」

廉『今から打ち上げ？』

「ん、みんなおるで。かわろか？」

廉『あー、いい。ちょっと大吾と話したくて』

「なんやねん、急に」


普通や。
大西さんも言うてたけど、なんでこんな、


「...、おおにっちゃんに何か聞いたん？」

廉『！』


こいつ、わかってるんやん。
わかってて、こんな、.....いや、ちゃうか。
大吾はずっとずっと前からこうやって普通を装ってたんやった。


廉『はー...、わかってるんやったら言うけど、』

「おん」

廉『大西さんの最終日、顔出してやれよ』

「...、」

廉『そんで、ちゃんと話して。頼むから。このままじゃ大西さんも大吾も』

「わかってる。このままじゃあかんのは、」

廉『...、怯えてんで。お前が離れていくって、いなくなるって』

「わかってるって」

廉『わかってへん！』


大西さんにとって、好きとか嫌いとかそれ以前に、


廉『大西さんの初座長の千秋楽を、一番喜んでやらなあかんのは俺らやろ！』

「、」


きっと沢山のプレッシャーと責任と不安と、そういうの全部向き合ったんは、


廉『俺の分も見てきて。頼むわ』

「...、俺でええんかな」

廉『アホ。お前以外に誰がおんねん』


お前の横に立つためやろ？
むしろ、俺じゃアカンぐらいや。




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