花の日にうまれた君に

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side:D




「おおにっちゃんかわいい」

「おおにっちゃんすき」


これは、いつの間にか出来てた俺の魔法の言葉。
もちろん俺だってそんな頭お花畑ちゃうから、本気で魔法って思ってるわけじゃない。
けど、これは俺がこれからもずっとおおにっちゃんの隣にいるための、俺の心に蓋をする大事な大事な言葉なんや。


「おおにっちゃん」

『何ー？』

「ぬふふ、かわいい」

『かわいくないです、ふつうです』


はいはい、って
いつもでしょ、って
言わんばかりのあしらわれ方。

毎日毎日飽きるほどに伝えてるこの言葉に、
どれだけの気持ちがこもってるのか。
おおにっちゃんも、他のやつらも、だーれも知らん。

だってこのかわいいもすきも全部、
むかーしから言うてる言葉やから。


正直、自分でもハッキリわかってない。
このすきが、弟とか後輩に向けてるすきから
そうじゃないすきに変わった瞬間を
自分自身でもわかってない。

ただ言えるのは、
今、俺がおおにっちゃんに向けてるすきは
特別なすきってこと。


「おおにっちゃん」

『もーっ、今度は何？』

「もーっ、やって！かわいい」

『……大ちゃん、お口チャック』


今日も撮影合間にこれでもかと降り注ぐ。
ずっと繰り返されるやり取りにおおにっちゃんもそれを聞いてる康ちゃんも、スタッフさんも呆れた顔で聞き流してる。

ほら、誰もこれが全部本気なんて思ってない。


だって、これは流星がほんまに小さい時から変わってないから。
俺の気持ちはこんなに変わってしまったのに。


でも、だから。




この気持ちは誰にも知られたくない。
おおにっちゃんにも。
康ちゃんにも。正門にも。誰にも。


知られてしまったら、
今気持ち悪いと言いながらも俺の膝にのってるこの子が、
俺たちのやりとりを苦笑いで見てる仲間が、

離れていってしまうその瞬間や。


「おおにっちゃん、すき」


やから、ね。
気づかんといて。


『はいはい。流星も好きやで』


いつの間にか一緒じゃなくなってしまった俺のこの歪んだ気持ちに。





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