10話：休暇命令 ページ43
数ヶ月後、私は城内を歩き回れる程に回復していた。
長い事医務室での生活だったけど、今はもう自室で安静にするよう言われるだけになっていた。
まだ訓練や任務には参加できないものの、私は確実に復帰へ近づいていた。
バルコニーへ出て、街の様子を眺めていると、なんだかいつもに増して賑わっている事に気づく。
しばらく不思議に思いながらも、ぼんやり見渡していた。
幾分か時間が経った頃、ピンッときた。
思わず、短く声が漏れてしまった程に。
『そっか、収穫祭が近いんだ』
それは、この国一番のお祭りで、その年の豊作を祝って、そして次の年の実りを願って数日間開催される。
もうそんな時期になっていたのか……
と、そこでふと気づく。
今年は、まだ収穫祭の警備の話がきてない。
どうりで頭から抜けるわけだ。
毎年、国軍総出で警備にあたるのに、今年はまだその話を聞いていない。
おかしい、聞き漏れちゃったのかな。
そう思って、私は総統室へ向かった。
「ああ、今年は出んくてええぞ」
『……はい？』
総統室で任務の確認をすると、トントンさんにそう言われた。
まさかの非番を伝えられ、拍子抜けする。
呆気にとられてる私を横目に、トントンさんは山の様な書類に目を通している。
どうやら、知らないうちに私は任務から外されていたらしい。
こんな事初めてで、少し困惑する。
加えて、それ以上何も言わないトントンさんに、小さかった困惑がどんどん膨れ上がり、ついには嫌な予感が頭を過る。
まさか、この前の怪我が力不足だと判断された……？
『っトントンさん！』
「んー？なんや？」
『私、大丈夫です！この前のは、その……ちょっとした事故ですから！私、全然戦えます！！』
「は？」
やっと書類から顔を上げたトントンさんが、訝しげな眼差しを向ける。
『私、平気ですから！だから、収穫祭の警備も参加させてください！』
「ちょ、お前何言ってんのや！」
私の必死の訴えに、何故かトントンさんは慌てている。
とりあえず落ち着け、と言われ私はグッと口を噤む。
「あんな？別にお前に任せられないから警備から外したんとちゃうで？」
『じゃあ、なんでですか……』
「なんでってお前、まだ体治りきってへんやろ。万全な状態やない兵士を任務に参加させるほど、ウチはブラックやないで」
当たり前のことやろ、と言われ私は２、３度瞬いた。
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双葉ちほ(プロフ) - #よにん。＠変人同盟さん» コメントありがとうございます！私もセレーナはお気に入りなので、嬉しいです♪ (2020年7月27日 17時) (
レス) id: 7ddb6147f4 (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠変人同盟(プロフ) - セレーナちゃんちゅきだわ、、、気持ちわかるよ (2020年7月26日 21時) (レス) id: 56651a4ea9 (このIDを非表示/違反報告)
双葉ちほ(プロフ) - ああかさん» ありがとうございます！嬉しいお言葉……！更新、頑張りますね（笑） (2020年7月26日 17時) (レス) id: 7ddb6147f4 (このIDを非表示/違反報告)
ああか - うわぁ、、めっちゃいいです、、好きです。更新楽しみにしてます (2020年7月26日 0時) (レス) id: 0ba4941a1e (このIDを非表示/違反報告)
双葉ちほ(プロフ) - よにん＠変人同盟さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年7月23日 17時) (レス) id: 35884a095a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2020年7月2日 18時
