9話:溶けた涙 ページ34
密輸の制圧任務から数日。
俺とシャオさんは総統室に呼ばれていた。
件の任務について、報告書の提出をするためだ。
「──以上が今回の任務の報告や。残党は無し、これでもう大丈夫やと思うで」
「ご苦労だった。よくやってくれたゾ」
「けど、やっぱ引っかかるな……」
トントンさんが浮かない表情をするのも不思議じゃない。
任務については、無事に遂行され終結している。
問題は、シャオさんが聞いたらしい、あいつらの後ろ楯の名前。
俺も、聞いた時は耳を疑った。
「まさか皇太子殿下の名前が出るとはな……シャオロン聞き間違えたんとちゃうか？」
「俺だって聞き間違いやと思いたいわ」
残念ながら、シャオさんが聞いたのは本当のようだった。
拘束した男達から情報を引き出しているが、どうやら同盟国の名前もちらほら出てきているらしい。
「けどまあ、とにかく任務は完了や。ホンマ、お疲れさん」
「おう！」
「うっす」
「そや、グルッペン。……Aは、大丈夫なん？」
シャオさんの声が、途端に心配の色を滲ませる。
無理もない。俺達は、城に帰って来てから彼女に会えていない。
船から降りた後、負傷した2人を急いで連れ帰って、城内へ運び込んだ。
Aさんは出血が酷く、すぐに医務室で集中治療が行われた。
あんな怖い顔のしんぺい神さん、初めて見た。
看護婦長の人も、顔真っ青にしとったな。
Aさんが医療室に入ってから、誰も彼女に会えていない。
誰も、だ。
無事なのか、それとも……
それすら、俺達は知らない。
だから、自然とグルッペンさんの答えに期待してしまう。
沈黙に耐えていると、グルッペンさんがフッと笑った。
「Aなら大丈夫だ。昨夜、遅くにしんぺい神から連絡を受けた。幸い、後遺症もないとのことだ」
「っ！」
「ホンマか？！よかったぁー……」
思わず息を呑んだ。
彼女の無事に、体中の力が抜けるくらい安堵した。
あの場で、流れる赤い血と青白くなってく彼女の顔を見た時は指先が震えた。
手負いの新兵もおったし、自分を落ち着かせるのに必死やった。
絶対に死なせるわけにはいかんかったから。
助かって、ホンマに良かった……
「しかし、件の新兵は少し処遇を考えないといかんな。彼の行動は、あまりに危険すぎる」
「あ、それなんやけど……」
トントンさんが腕組みをして唸った所で、シャオさんが手を上げた。
思わぬ提案に、俺もトントンさんも目を見開く。
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双葉ちほ(プロフ) - #よにん。＠変人同盟さん» コメントありがとうございます！私もセレーナはお気に入りなので、嬉しいです♪ (2020年7月27日 17時) (
レス) id: 7ddb6147f4 (このIDを非表示/違反報告)
#よにん。＠変人同盟(プロフ) - セレーナちゃんちゅきだわ、、、気持ちわかるよ (2020年7月26日 21時) (レス) id: 56651a4ea9 (このIDを非表示/違反報告)
双葉ちほ(プロフ) - ああかさん» ありがとうございます！嬉しいお言葉……！更新、頑張りますね（笑） (2020年7月26日 17時) (レス) id: 7ddb6147f4 (このIDを非表示/違反報告)
ああか - うわぁ、、めっちゃいいです、、好きです。更新楽しみにしてます (2020年7月26日 0時) (レス) id: 0ba4941a1e (このIDを非表示/違反報告)
双葉ちほ(プロフ) - よにん＠変人同盟さん» ありがとうございます！そう言っていただけて嬉しいです。 (2020年7月23日 17時) (レス) id: 35884a095a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：双葉ちほ | 作成日時：2020年7月2日 18時
