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「________どうです?貴方達がストーカーしてたシャロンの声が聞けて。」
シャロンとの通話が終わって数分経ったころのこと。椿は、ある倉庫でパソコンに向けていた目を離し、その地面に座り込む
それは、三人のひと。
ピチャ、とそれが僅かに動いて、地面の液体の水音が鳴った。「まだ動けるのか…」と彼女は演技っぽく、呆れた表情を見せた。
「笑えないですよね。ほんと。………あぁ、そもそも、ちゃんと聞こえてますか?意識朦朧としてるでしょう」
また、ピチャン、と水音が鳴った。それに、「へえ、」と彼女は興味深かそうにそれらを眺めた。
「聞こえてるんですねえ、へえ……。じゃあ目は見えてますか?腫れてるでしょう」
今度は、しん、と静まり返った。
ふふ、と椿は狂気的な笑みを浮かべて、歓喜の声色で、
「へえー、見えてないんですか!!!良かった!!これで貴方たちにシャロンは当分拝めませんね。…あ、当分なんて時間じゃないか」
思い出したように、ニコ、と可愛らしく。着物の袖で口元を隠して、くすりと笑った。
「ふふ、そうでした。“一生シャロンを拝めませんね”の方が正しかったです」
ごめんなさいね、と彼女は本当に申し訳なさそうな顔を浮かべて謝る。彼らには見えないが。
「貴方たちの住む場所はもうありません。仕事もありません。全て焼きましたから」
遠くで鳴るサイレンの音が鮮明に聞こえたのか、彼らはさっきより一層激しく動いた。バチャバチャと水音が鳴る。
「あぁ、ご心配はご無用です。社員の方は全員避難させてありますし、貴方がたの家に住む家族も避難させました。……ただ、」
少し言うのを戸惑うように、彼女は種明かしした。
「貴方がたと顔も身長も服装もそっくりな子たちに仕事場と家を焼かせたので、容疑は貴方達にかかってますよ。たいへんですねぇ。」
そこで、と彼女は三丁の拳銃を彼らの手のひらに握らせる。
「罰ゲームみたいなものです。牢屋にぶち込まれるよりよっぽどいい罰ですから。
これらの拳銃には6分の1の確率で実弾が入ってます。だから、運次第で貴方たちは死んだり、生き残ったりします。ちなみに拒否権はありませんよ」
恐る恐る彼らは拳銃を手に持ち、自分の頭に向ける。
「準備はいいですね?……せーの」
バン、と重く、三つ分の銃声が鳴った。
三人分の、ビチャン、と勢いよく倒れる水音とまだ残る銃声の音が倉庫内に響いていた。
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琥珀糖君@らびまるもしもちゃん推し - 夢主ただの変/態レズビアンすぎてもはや笑うしかない。(失礼)でも私の好みという。好き。(唐突な告白) (2023年3月30日 13時) (レス) @page6 id: 6f9faa66b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - やばい!ドキドキが止まらない!!続き楽しみにしてます! (2019年9月10日 21時) (レス) id: 5fb09e599b (このIDを非表示/違反報告)
蓬_よもぎ_(プロフ) - ルイさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるとは…嬉しいです!更新速度が遅かったり、至らぬ点もありますが、頑張りたいと思います (2018年7月26日 16時) (レス) id: 1cd130cdc2 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - とてもいいです!自分ベルモットが大好きなのでとてもニヤニヤしながら読ませて頂きました、続きの方楽しみにしてます (2018年7月26日 0時) (レス) id: d66282783f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓬_よもぎ_ | 作成日時:2018年5月10日 22時