Christmas ページ21
「今日はなんの日でしょう!」
勢いよくシャロンの組織内の部屋に入って早々、そう質問を飛ばせば来ると思った、と彼女は小さく漏らした。
「クリスマスね。キリストが生まれた日。いい子はプレゼントがもらえる日だわ」
「…って事で、これからディナー行かない?七面鳥の丸焼きとかクリスマスケーキとか食べに行こうよ」
前にクリスマスは空いてるって聞いたから、断られないことは知っている。伸ばした手をシャロンに向ければ、彼女は私の手を引っ張って胸元に引き寄せた。
「はぅっ!!まって…むちゃくちゃいい匂いするんだけど…!聖夜だもんな…この後はホテル確定か(あっ、いいの?じゃあエスコートは任せて?)」
「心の声と反対じゃない????」
・
「………はい、クリスマスプレゼント」
ディナー後。いつの間にか取られていた高級ホテルの一室で、私はおずおずとラッピングされたそれを彼女に渡した。
悪く思われないかな、とか、センス悪くないかな、とか。そういえばシャロンちゃん女優じゃん。えっっどうしよう。
シュルシュルと手際よくラッピングを解いていく綺麗な手を見つめながら、箱を開けた瞬間、硬く目を瞑った。もう、どうにでもなれ!
「………」
「………」
これはいけない反応なのでは。あー、失敗したな。どうしよう。そうだよな、シャロンに贈り物なんて…。ば、と突然隠された自分の視覚に頭がついていかず、理解しだした頭でシャロン、と呟いた。
「…これ、椿、よね」
「…う、うん」
ひんやりとした彼女の指先に、自分の視覚を預けながら質問に受け答える。…間違ってないよな。彼女が耳に穴を開けていることは事前に調査済みなはずだけど。まさか見間違えた?
「椿の花の、ピアスよね」
「ごめ、嫌だよね」
「馬鹿ね。ちゃんと私の話聞きなさいな」
ふんわりと彼女の手が退けられ、視界がクリアになると、シャロンの顔が真っ先に入った。
「っーー!、」
すでに耳元に赤く光るその椿の花に、思わず泣きそうになった。
ひええ。シャロンが私が贈ったものを付けてくれてる。椿Aからの贈り物が椿の花のピアスとか、絶対気持ち悪がられるって思ってた。
「流石に引くでしょこんな贈り物。って思ってた数分前の私を殴りたい泣きそう」
「残念、あなたもう泣いてるわよ」
「そう言うのほんとシャロンちゃんずるいよね」
滝のように溢れ出る涙に、シャロンのハンカチが添えられてもっと涙が増えたのは言うまでもない。
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琥珀糖君@らびまるもしもちゃん推し - 夢主ただの変/態レズビアンすぎてもはや笑うしかない。(失礼)でも私の好みという。好き。(唐突な告白) (2023年3月30日 13時) (レス) @page6 id: 6f9faa66b6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - やばい!ドキドキが止まらない!!続き楽しみにしてます! (2019年9月10日 21時) (レス) id: 5fb09e599b (このIDを非表示/違反報告)
蓬_よもぎ_(プロフ) - ルイさん» コメントありがとうございます。そう言っていただけるとは…嬉しいです!更新速度が遅かったり、至らぬ点もありますが、頑張りたいと思います (2018年7月26日 16時) (レス) id: 1cd130cdc2 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ(プロフ) - とてもいいです!自分ベルモットが大好きなのでとてもニヤニヤしながら読ませて頂きました、続きの方楽しみにしてます (2018年7月26日 0時) (レス) id: d66282783f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓬_よもぎ_ | 作成日時:2018年5月10日 22時