開久の忠犬は理子ちゃんの弟！ (ページ1)

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理子「昨日、強いって噂の人を見つけたのよ！」

『へぇ、どんな？』

理子「転校初日で10人相手に勝ったらしいの。」

『そりゃ強いね。』

朝ごはんを食べながら陽気に喋ってるのは俺の姉ちゃん。
軟葉高校で風紀委員をしているらしい。

最近うちの道場に道場破りまがいこことを仕掛けてきた輩がいて、その試合に勝たないとうちの道場は看板を下ろすことになってしまうのだ。

理子「だから今日、ちょっと試してみて、強かったら協力お願いしてみる！ううん！弱くてももう手伝って貰わなきゃ。」

『弱かったらやめといたら…？』

俺も小さい時から使ってた道場だからなくなるのは寂しいし、あんな嫌味なヤツらに負けるのも癪だ。

『もっと慎重にさ…。ほら、こないだたまたま紅校の番？って人に会えたわけだし。ゆっくり時間かけてちゃんと強い人見つけないと。』

理子「でももう時間がないのよ！」

『いつだっけ？試合。』

理子「今日よ。」

『今日！？！？』

なんでやたらと姉ちゃんと父さんが焦ってたのか合点がいった。今日って…！逆によく今日まで何もしなかったな！

『俺も試合出ようか？』

理子「駄目よ、Aに敵う相手じゃないのよ。それにAはとっても優しいいい子だもの。無理させたくないの。」

『あぁ…うん。じゃあ、まぁ、もしどうしてもの時は電話して……？すぐ帰ってくるから。』

理子「うん。じゃあ行ってくるわね。早弁しちゃ駄目よ！」

『うん。行ってらっしゃい。』

姉ちゃんはああ言ってるけど、俺は姉ちゃんに隠してることがある。

俺が弱いと思われているのは、もっと小さい頃、姉ちゃんとの試合に負けに負け越してへそを曲げて武道をやめてしまったからだ。

本当は恥ずかしくて姉ちゃんに隠れて父さんに沢山鍛えてもらったし、実践もこっそり積んでたりする。

それに何より、俺はあの開久高校の1年の中で1番強い。智司さんたちのグループにはまだ入れてないし、認知もされてないだろうけど。
いつか俺も智司さんの隣、いや後ろでいいから一緒にあんなふうに街を練り歩いてみたい…！

哲夫「お前、ちゃっかり理子見送ってるけどAも学校でしょ！開久なんて柄の悪い高校に通ってるうえに遅刻なんて父さん許さないからな！
ほらとっとと行く！」

『うぃーす…、いってきます』