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第4話 【ビアンカ】 ページ4

白い霧が立ち込め、まだ気温の低いセント・グラーナの朝。

湿った大気に、弓を引き絞る音が響く。

次の瞬間、(つぶて)のように 放たれた矢が朝霧を切り裂いた。

カッ!と乾いた音を立て、中心を綺麗に射抜かれた的が たわむ。

ふう、と息をつき、的に刺さる矢を引き抜いた影が一人。

セント・グラーナ屈指の魔法店『龍の住処』の店員 ビアンカだった。

橄欖(かんらん)色の髪を霧に濡らし、セント・グラーナを一望できる小高い丘を下りる。

人の少ない朝の街に、目を覚ますように徐々に活気が宿り始めている。

それに合わせ、彼女は日課である鍛練を止め、街へと下った。

王都の片隅に庇を構える『龍の住処』は、腕利きの魔導士ソソラの営む魔法店だった。

ビアンカは店員にして彼女の一番弟子、そして

「ソソラ様! 朝食は食べられそうですか?」

「無理... ウップ、き、気持ち悪い......」

信じられないほどに生活力の欠如した師匠・ソソラの世話係でもあった。

(さて、そろそろ お店開けないとな...)

少々 特殊な体質に苦しむ師匠の介抱もほどほどに、ビアンカは店先の(かんぬき)を外した。



最初に店の扉を叩いたのは、魔法ギルド『リンドヴルム』に所属する魔導士 レイシェリアだ。

「あら、いらっしゃいレイシィ。 今日はどうしたの?」

「魔法石の粉を80グラムと、杖の修繕をお願い。」

このレイシェリアとは、同じプラトー高原 辺境の生まれだった。

王都ではこんなにも魔法技術が進んでいるのに、彼女らの育った集落は、閑散さではリリーティア・シティ
にも劣らないほど何もなかった。

遊牧で生計を立て、女は家と子供を守る。

そんな暮らしを拒絶し、ビアンカはセント・グラーナを訪れたのだった。

...とまあ、これは昔の話。

魔法道具を扱わせたら一流の魔導士ソソラに弟子入りした彼女も、ただの見習いではない。

慣れた手つきで分銅と魔法石の粉を釣り合わせ、綺麗に包む。

「はい、80グラムで20リオン。 杖は、ソソラ様に欠損を見積もってもらってから修繕するわ。」

「ふふ、ありがとう。

そう言えば、リンドヴルムでまた祭りを開くんですって。 何でも、プラトーでの花見パーティーだとか。
『龍の住処』にはギルドがいつも お世話になってるから、ソソラさんとビアンカをぜひ招待したい、だそうよ。」

「へぇ...」

祭りへの好奇の念と僅かながら不安を胸に秘め、ビアンカはレイシェリアの背を見送っていた。

第5話 【ルーフリー】→←第3話【ユイ】



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鈴蘭(プロフ) - 書き終わりました。 (2018年3月24日 16時) (レス) id: e93f1f0567 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蘭(プロフ) - 第5話書きます。 (2018年3月24日 14時) (レス) id: e93f1f0567 (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 終了しました。 (2018年3月16日 16時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)
MIZORE@厨二の魂百まで(プロフ) - 第4話書かせて頂きます。 (2018年3月16日 15時) (レス) id: d47704566c (このIDを非表示/違反報告)
鈴木燐架(プロフ) - やばっ報告忘れてた…終わりました! (2018年3月16日 7時) (レス) id: 0a601ec6bb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:《リンドヴルム》メンバー x他3人 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年3月15日 9時

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