登坂家の日常。。。9

9-5　〜広臣＆you〜 ページ5

〜広臣〜





「だーめ、なぎいるからあっち」



そう言ってソファを指差したA



「よしっなぎ寝てるうちだ、急げ
ほら」



立って手を広げてやると
ニコっとして俺に飛び乗ってくる



ほんと抱っこ好きな



妊婦のうちは無理だったもんな
久しぶりにA抱っこして



「ん？」



もう体重元に戻ってんだろ



まぁなぎ産む直前はろくに食ってなかったし
産んでからも切腹の跡が痛くて食欲ないみたいだし



だから乳出ないのもあんだぞ
気にするから言わないけど





くすくすと笑ってるAに「チュッ」っとしてやれば嬉しそうな顔する



そのままどちらからともなくお互いに何度もチュッチュッしながら





Aのケツからソファに下ろしてやって



上から覆い被さる





ふと見れば
Aの手にはなぎが映し出されてるベビーモニター



それをそっと取ってテーブルの上に置き





少し見つめ合って





目を瞑って顎を上げるAの唇に俺の唇を重ねて…









・









・









〜A〜





久しぶりなのに
今日の広臣は大事なものを扱うように私に優しく触れてくれる





お互い纏っているものが何もなくなり





「…あ……………」





ふと気づく





胸はだんだんと元に戻っているのに
体型は戻ってはいない



ストレッチマークあるし…



何よりテープは貼ってあるけれど、その下はまだグろい傷跡がある



帝王切開が決まった時点でできる限り横にって言ってあったから、縦に切られないで済んだだけましだけど



人によっては妻のそれを見ただけで萎えちゃう夫もいるとか



だからこそ数時間おきに起きるなぎの世話をしながら起き抜けの汚いままいないようしようって、化粧しないまでも髪の毛は綺麗にしてたりとか



いくら家にいるとはいえ、パジャマでいるんじゃなくルームウェアにしてみたりワンピにしてみたりとか



できるだけ小綺麗でいる努力はしてきたつもり



だけど…



こんな汚い身体あんま見てほしくない…








「…え…………」





お腹の傷口を何度も撫でて
何度もそこにキスを落とす…





「広臣……？」


「こんな切ったんだな
痛かったよな
今は？痛くない？」


「うん……」





どんだけ優しんだろ



そんなこと言われたら



普通に無理



もう涙腺崩壊しそう






その瞬間
広臣は私の胸に顔をうずめてきて



「A……愛してる…」



呟いた

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