登坂家の日常。。。9

9-15　〜you &広臣〜 ページ15

〜A〜





「んふふ」


「あのーAちゃん？」


「なぁにぃ？広臣くん」


「嬉しいのは分かった
分かったから そのお膝のやつは後ろに置こうか？」


「えー」



だってー
念願のバーキンなんだもん


色も大きさもシルバー金具も
まさに私が欲しかったそのものなんだもん



「じゃあさ
せめて中出せば？」


「やだぁ
まだ勿体無くて出せない」


「あっそ」



だってー
バーキン様だもの


ボックスカーフは傷つきやすいんだから


せっかくオレンジの箱に茶色いリボンかけてくれてあるんだよ


そこから出せなーい









・









・









〜広臣〜





思った通りの反応で俺も嬉しいんだけど


助手席でそんなでかいオレンジのショップバッグ抱えて乗られても…


はっきり言って邪魔


それに…



「おまえさ
勿体ないって使わないと
買ってやった意味ないからな」


「えーでもー」


「でもじゃねーよ
おまえが言ったんじゃん
バーキンってたくさん荷物入れるためのバックだって」


「あっそっか
そういえばバーキンの由来って知ってる？」


「ちょっとしか知らない」


「あのね バーキンってね
元はケリーってあるでしょ
グレース・ケリーがパパラッチから妊娠中のお腹をとっさに隠したケリーバック

そのケリーをジェーン・バーキンが使ってたんだけど、気軽に使うには相応しくないって手回り品をボロボロの藤の籠に詰め込んでいて、それを飛行機の中でぶちまけちゃったの

それを見たエルメス社長が、何でも詰め込めるバッグって、ジェーン・バーキンのために作ってあげたのがバーキンなの」


「へー
じゃあ やっぱなぎのオムツとかぼこぼこ入れて使うためのバックじゃん」


「そうじゃん
それに使い込まないと味が出てこないもんね」


「そうそう
使い込んで価値が出てくんの」


「そうだ
じゃあじゃんじゃん使わせていただく

広臣。本当にありがとう」


「いえいえ」



ふぅ
それで納得してくれて一安心



「よしっせっかくここまで来たんだから
何食う？寿司？天丼？うなぎ？」


「えー胸いっぱいでお腹いっぱい」


「はっ？」



そうなるような気はしてたけど
まさにその通りで呆れる



俺もAのその嬉しそうな顔見てるだけで腹いっぱい



なんて…



エルメスの個室でチョコ食ってジュース飲んどいて良かった…

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