登坂家の日常。。。9

9-14　〜広臣〜 ページ14

東京に向かって車を走らせながら、さっきAが言ってたことが…ふと浮かぶ



なぎと過ごせる時間か…



俺としては いつまでもなぎは俺らのそばにいるもんだと思ってる


まだ産まれたばっかだから先のことなんか考えてないし



でもそのうち口を利くようになって
自分の意見を主張するようになるだろう


自分で飯食うようになって
好き嫌いが出てきたりするだろう



これから先 何年生きるか分からないけど、なぎが生きていく中で今みたいな時期はほんの一時しかない



もしこの先子供が産めるやつならこんなことはまだまだ考えないのかもしれない


でもAは なぎしか子供が持てない
だからこそこれからのなぎとの関わりを考えているんだと思う


だから 今はできるだけなぎと一緒にいようって


だったら…



「このままなぎ迎え行くか？」


「ん？
広臣こそ時間は？」


「俺はまだ大丈夫。帰りは遅いと思うけど」


「そっか
何か考えてた？」


「うん。どうせなら
なぎ産んだご褒美してやろうかと思ってたけど」


「え……それって私に？」


「おまえしかいねーだろ」



ほんと頑張ったもんな


普通なら陣痛の痛みだけなのに
あんな長い期間 激痛に耐えて


なおかつ
子宮まで無くなって


おまえの子宮見せられた時
正直きたよ…ショックだったよ


俺がそんなんだもん
おまえなんか余計だよな


あの筋腫のヤロウがどんだけ憎かったか


だから これからの子育ても頑張れを含めて
ご褒美考えてたんだよね


たまたまタイミングよく今日行かなきゃならなかったんだけど


ついでだし
喜ばせたいし



「よし！
寄り道してからなぎ迎えに行くぞ」


「はーい

の前にハラヘッタ」



出た。年中腹減り女
なんて 何も食ってないもんな



「でも我慢しろ
あと…1時間」


「えーどっか寄ろうよー」


「ダメっ」


「じゃあせめてコーヒーだけでも
ご主人さまぁ」


「しゃーない
コーヒーだけだぞ」


「やったー」



ってガキか
そういう俺もこいつに甘いだけ









・









車をある店舗の前に停める



「えっここ？」


「そうここ」



目をパチクリするこいつが可笑しい
初めて来たわけじゃないのに



ここのバックだって何個持ってんの？だし



でも いつかはここの"それ"って昔から言ってたもんな



俺のを共有すんのは嫌なんだもんな



これじゃ金稼がないって言ってたけどな



それでも買ってやる俺って
やっぱ甘い？

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