登坂家の日常。。。8

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いろいろなことがありすぎたこの妊娠期間


この経験は一生忘れることはないだろう



そしてこの病院にも先生にも佐々木さん他スタッフの方全員に本当にお世話になって



いよいよ明日なぎと一緒に退院できる



なぎが保育器に入っていたこともあって
まだなぎの顔を見せていない人たちもいるけれど



それは追々ってことで





楽しみにしていたお祝いディナーも今日頂いて思い残すことはない









「ほんとよく頑張ったよ。おまえ」


「そお？」


「そお」


「ふーん」





最後の夜だから広臣と一緒に寝る病院のシングルベッド



引っ付いて寝ないと狭いから広臣が腕枕してくれて
私を誉めてくれる



けど…照れくさい私はいつも通り素っ気なくなる





「思えば三代目のツアーが始まった時だったね。
私がこのベッドで何日か寝たまま起きなかったの」


「だな
でもな、あん時みんなは心配してたけど俺は落ち着いてたんだよね」


「そうなの？」


「おぉ
なんかさ おまえならすぐ起きるって分かんないけど思ってた」


「ふーん。そっか
私はね、あん時絶対に流産しちゃったと思ってたからこんな風になぎに会えるなんて思ってなかった」


「だよな
おまえ俺に謝ってきたもんな」


「うん
でもさ なぎって広臣孝行だよね」


「俺も思った
俺いる時に生まれたし 俺いる時に退院だし」


「ねっ」





話は尽きなそうだけど



フニャフニャとなぎが泣き出して…



「この子さ こんな情けないような泣き方しかしてなくない？」


「なんだよな。赤ん坊ってもっとオギャーって泣くもんじゃないの？」


「だよね」





広臣も思ってたか
だから思いっきり泣かせるまで放っておきたいんだけど…



すぐ抱っこしちゃうから。パパが



でも不思議とそれでなぎも泣き止んじゃうんだよね





「よしっ決めた
家に帰ったら なぎがオギャーって泣くまで知らん顔してること。分かった。」


「えーそれは無理かも」


「ダメっ
甘やかし禁物」


「分かったよ
子育ては一緒にするけど、方針はおまえに任せる…つもりだから」


「あー言ったからね
私のやる事にいちいち文句つけないでよ」


「はいよ」





こうしてなぎを放ったらかしで喋ってれば…





「また寝ちゃったね」


「なっ ほんとこいつよく寝るな」


「ねっ この子私と一緒で手が掛からないんだよ」


「だといいけどねー」





ほんとママはそう願ってるよ…

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